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朝日ライフ アセットマネジメント株式会社「SRI 社会貢献ファンド」-Part2

  SRIファンドとして長期の運用実績がある「あすのはね(愛称)」について、朝日ライフマネジメントで投信事業を担当される執行役員の城下悦夫氏にお話を伺いました。

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取材日時  平成24年11月16日  10:00~12:00
場所        朝日ライフ アセットマネジメント本社応接室

協力調査機関であるヴィジオ・ベルギー社とはどのような会社ですか

  ヴィジオ・ベルギー社は、ベルギーにある社会的責任投資専門調査機関です。日本人アナリスト中心に日本の企業への調査を行っており、協力調査機関として利用しています。ワールドワイドで社会貢献度調査にかなりの経験・実績を持っていますので活用させてもらっています。
  「あすのはね」は個別の銘柄で積み上げるボトムアップ運用ですので投資ユニバースの定点観測を含めて継続的にモニターして行くという事が非常に重要になってきます。

具体的にはどのように社会貢献度を組み入れて銘柄を選定されるのですか

  ファンドの投資プロセスにおいては、ヴィジオ・ベルギー社の社会貢献度評価を参考に当社において企業価値分析や総合的な銘柄選択を行います。
  右図はマイケル・ポーターの「競争戦略論」などを参考に当社が作成したものですが、ご覧の通り企業の収益性評価には『事業の魅力度』と『相対優位性』という2つの軸を持っています。銘柄を選定した後は中長期的な視点に立って価値のある銘柄を安く買い、価値の成熟と株価の上昇を待つ運用を行います。
  『あすのはね』ファンドは、組入上位30社で全体の約8割を占めます。現在33業種のうちの16業種は組み入れていません。投資哲学とプロセスに則った結果が如実に現れていまして、他社と異なるポートフォリオとなっています。第三者のファンド評価から最優秀賞を頂けるのも、まさしくこの投資哲学やプロセスを反映したポートフォリオ運用となっているからだと思います。

東京電力を組み入れていないことで話題となりましたね

  東日本大震災3・11の時、NPO法人 SIF-Japanの分析によるとエコファンドやSRIファンドの34ファンドのうち、回答があった31ファンドの19ファンドに電力会社が入っていたそうですが、私どもはそれ以前も現在も電力会社への投資は控えております。その理由は投資採算性が計算できない点やガバナンスについての問題で、例えば上場企業でありながら国と一緒に事業をやっていますので、その事業を止められるかと言えば止められず、経営の独立性もなく、しかも一般の事業会社と比較して借入金もケタ違いに大きいのです。これまでなら通常のファンドであれば電力株は組み入れられていますので、パフォーマンスという点ではマーケット局面においては非保有のハンディを抱えつつも他のファンドに劣らないパフォーマンスを出していけたのは投資家の皆様に理解して欲しい点です。

多くの企業が何らかの社会的活動を行っていると思われる上場企業の中で重視するポイントは何でしょう

  まずベースになるのは英語で頭文字をとってESGといわれる3つの項目の環境、社会、ガバナンスです。中でも、特にガバナンスが重要であると認識しています。
  決算書の数字は会計処理の方法如何によって幾分良く見せることは可能かもしれません。ただ会社のベースとなる会社の体質はなかなかそう簡単には変えられません。数字だけを追いかけるのではなく、そのベースとなっている数字の裏にある体質をしっかりと認識する必要があります。そこで非財務部門の分析が非常に重要だと考えています。

信託報酬の一部を社会的課題に取り組む団体へ寄付されていますね

  ファンドから頂いる信託報酬のうち、委託者報酬が運用会社に支払われます。その委託者報酬の中から寄付をさせて頂いております。信託報酬総額はファンドの純資産額にリンクしますので寄付総額は変動します。寄付先の選定については社内に選定委員会があり、その場でしっかり議論して決定しています。福祉分野だけに限らず、子供や女性・家庭の問題など幅広い分野を対象にしています。寄付させて頂いたお金がどのように使われるのかは大変重要な事で、活動内容に加えて情報開示度合いも重視しています。また震災関連のような活動であれば、1年や2年の話でなく10年単位で取り組むべき継続支援の意識が必要になってきます。一方でNPOの活動も変化するので、常に寄付機会をオープンにしておくことが肝要だと思います。

盛り上がっているとは言い難いSRI市場の状況の中でここまで運用を続けてこられた一番の理由は何でしょう

  設定以来の運用哲学に沿ったブレない運用に対して投資家(受益者)や第三評価機関の方々からの信頼や期待を得ていると我々自身が感じ取れたからだと思います。運用はそもそも孤独なものですので、理解者の存在は大きく、モチベーションの維持・向上に繋がります。

目標とするリスク・リターンの水準はありますか

  明示的な運用目標は決めていません。ベンチマークや参考指数がどれ程の意味を持つのかというのはありますが、参考指数を安定的に上回っていくことは大切です。そのために価値ある銘柄を安い価格で購入し、高い価格で売却する事を愚直に繰り返して成績を上げて行く運用を目指しています。ライバル・ファンドは特にありませんが、SRIのファンドの中で一番になるということより、アクティブ・ファンドの中で一番を目指していけたらと思っています。投資ホライズンは3年から5年で、長期投資スタンスということで売買回転率は20%から30%と通常ファンドと比較した場合にゆったりしています。

どのような投資スタンスを持った方に向いた商品でしょうか

  現在購入して下さっている方の世代別比率・男女比率は当社ではよくわかりませんが、普通のファンドよりも女性の投資家(受益者)が多いかもしれません。長期投資をベースとしているので長期スパン志向でリスク許容度の比較的高い方、そして会社というものが、世間にとってどのような役割にあるかという事に関心のある方には注目されるファンドだと思います。

投資信託は初めて、あるいは金融商品を購入するのが初めてという方にも向いている商品でしょうか

  その通りです。一般的に初めて投資をされる方に推奨されているのはインデックス・ファンドで、アクティブ・ファンドは説明が難しいと言われ敬遠されることが多いのですが、むしろ逆だと思います。「あすのはね」は個別銘柄の積上げでポートフォリオを構築しているアクティブ・ファンドですので、インデックス・ファンドと違いパフォーマンスに貢献できないと投資判断される銘柄の組み入れは行わないので逆に解りやすいと思います。インデックス・ファンド自体の説明や理解は簡単ですが、投資家(受益者)にとってインデックス・ファンドに投資をする行為の説明はかなり難解であると思います。

ありがとう投信で御社の社会貢献ファンドが組み入れられていますね

  公募投信の「あすのはね」ではありませんが、私募投信の「社会貢献ファンド」をお組み入れ頂いています。私どものコンセプトを理解して頂けているということで大変有難く、大変嬉しい話です。ノーロードの長期投資に重点を置いたファンド・オブ・ファンズ形式のファンドで早い時期から採用して頂き非常に光栄です。

このファンドを購入された方に対して継続的に提供しているアクションは

  ホームページでの当社からの直接情報発信ともう一つは販売会社を通じたサービスです。
  例えば、投資アイデアを理解してもらえれば更にファンドのことに対する理解が深まると思いますので、投資家向けにホームページ上で2009年からファンド・マネージャの速水がコラムの連載を始め、SRIの観点から魅力のある企業を紹介しています。そうすることでホームページへのアクセスも増えますし、これを毎回読んでもらえればファンド・マネージャやSRIへの理解も深まるとの狙いもあり、継続定期配信をしています。銘柄コメント等を運用報告書や月次レポートに入れる会社もありますが、我々としてはスタートしたコラムという提供の形を踏襲しながら追加・補完できればと考えています。
  販売会社からご依頼頂いたセミナーや勉強会では、ファンドの説明に限定せず、テーマを広げて投資家(受益者)の皆様の疑問やリクエストにお応えするよう心掛けています。

いいファンドとは何かお聞かせ頂ければと存じます

  良いファンドとは、良いパフォーマンスを長期で形成するためには何が必要かというところから導けば、自ずと答えが導けると思います。
  金融商品である以上絶対に外せないことは、まずは長期資産形成のために有用であるファンドであるだということです。ファンド毎に決められている分配方針に従って適切な分配を行い、長期の資産形成に役立つファンドでなければなりませんから、トータル・リターンを追及するファンドであることは言うまでもありませんが、投資哲学に沿った運用から超過リターンが継続的に獲得できるファンドであって欲しいですね。投資哲学が運用にしっかり反映されて、その結果、長期で良好なパフォーマンスをあげているファンド、株主と経営者の関係と同じで運用者と投資家が同じ方向性を持つ利害の衝突がないファンドであることも大変重要です。
  案外見落とされがちではありますが、良いファンドには洗練された投資家がついていることが多いものです。洗練された投資家とは、パフォーマンスのノイズに影響されない投資家達です。構造的にそのファンドに問題があれば解約しなければなりませんが、たまたま成績が悪いからといってすぐに解約する人ばかりが多いファンドでは運用資金が変動してしまい、安定した運用ができません。良いファンドは投資家(受益者)と運用者の相互関係が良好なファンドである事とも言えます。

第三者投信評価機関に期待することをお聞かせ頂ければと存じます

  評価機関のファンドに対する評価はもう少し個性的であってもよいのではないかと思っています。評価軸がどうしても横並びになりがちで評価結果が似通ってきます。様々な投資家(受益者)に向けた多面的なファンド評価事業にビジネス機会を求めれば、投信業界全体の活性化にも大きく貢献できるのではないでしょうか。個々の投資家(受益者)が投信を選択しやすくなる多様化した評価軸を模索し、質の高い定性判断を可能にすること(評価の見える化)ができれば素晴らしいですね!
  我々はセミナーで参加者の皆様(投資家)にファンドのどういう部分を見れば良いのかのアドバイスもさせてもらっています。運用報告書のようなファンド資料の読み方だけでなく、この項目についてこのような質問をしてみて下さいと。その回答内容でファンドの良し悪しが見えてくるものです。
  パフォーマンスは急激に悪くなると気付きやすいのですが、徐々に悪化する場合はわかりにくいものです。パフォーマンス悪化の原因が構造的なのか、一時的なのかどうかの見極め重要です。過去のパフォーマンスが将来においても再現性を持つファンドが良いのですが、その再現性が崩れる原因がどのようなこと事なのかなど等をお話しています。一般的にアクティブ・リターンがマイナス(ベンチマークに対してファンドのパフォーマンスが負けている状態)になると駄目だと判断しがちですが、全天候型のファンドは存在しないので、実はマイナスになっている時ほど良いファンドであればファンドの追加投資のチャンスであるかもしれません。ファンドのパフォーマンスの出方には癖がありますからその癖を予め認識しておけば気持ちが落ち着きますし、ブレずに済みます。販売会社を通じて投資家が鋭く質の高い質問を投げかけられるようになれば良いファンドの運用者にとってみればその回答をする行為で理解者(ファン)の獲得チャンスが広がります。

≪ Part1
<インタビュアー、記事執筆、写真撮影>
  高橋、白熊、桜町