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レオス・キャピタルワークス株式会社「ひふみ投信・ひふみプラス」-Part2

  先端的な試みが注目を集めるレオスの最高投資責任者の藤野英人氏とマーケティング部長の白水美樹氏にお話を伺いました。

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取材日時  平成24年10月19日  10:00~12:30
場所        レオス・キャピタルワークス本社応接室

今後の個人投資家向けマーケティング戦略についてお聞かせ下さい。

  かなり挑戦的な取り組みをしています。例えば毎月のセミナー『ひふみアカデミー』で月次の運用報告会をしています。冒頭の30分間をUstreamの動画を配信し、少しずつ見てくださっている人が増えています。もちろん各社運用レポートは毎月出していますが、おそらく既存の商品でお客様にもご参加いただいて運用の報告会を毎月開催する例は他にないでしょう。しかも動画でアーカイブを残してあるので、誰でも過去の分を遡る事ができます。会場に足を運ぶことができないお客様も見ることができます。ひふみプラスを始めてからはSBI証券の分と合わせて毎月2本動画を撮影しています。両方に相乗効果があって、ひふみプラスを聞いてSBIで申し込むお客様もいればSBIで動画を見て直販で申し込むお客様もいます。
  運用の内容もかなり赤裸々に語り、それ程隠していることはありません。包み隠さず極力開示することを大事にして力を入れています。と言うのも、一般の投資信託は何が見えないって運用者の顔が見えないんですよね。そこがひふみ投信と全く違うところです。誰が運用して誰が責任を持っているのか、どんな人達がやっているのかを知ろうと思えば知ることができます。SNSもありますし、動画で顔も見えますし、希望とあらばファンドマネージャーの一人ひとりがラジオ番組にも出演しているので、追いかければ追いかける程その人のことを知ることができるしくみになっています。
  開示されていることによってコンテンツが更新され、見に来てくれた人がまた人を呼ぶ良い循環も生まれます。とにかく常にそこにお祭りがあるようにしなければならないと思います。人がいなくてもいろんなお祭りをして、そのうちに立ち止まってくれた人のクチコミで人が集まるみたいなところからスタートしました。お祭りがあるから人が集まるのであって、これが世の中だいたい逆をしがちなんですよ。たくさん人がいるから何かしよう、どんな人にフォーカスするんだという話になり、人の流れを数えてみたら少なかった、じゃあ止めようという話になる(笑)。そうではなくて、『流れ』は自分たちで作り出すことができる。ひふみサロンは道端のジャグリングに似ている部分もあって、そこにイケてる人が来ることによるハロー効果やブランディングを狙っています。
  草食投資隊のような草の根活動も認められ、パフォーマンスも高くて知名度があがってきました。地域戦略・メディア戦略・動画での取り組み等の細かい地道な活動を続けてきたことが段々と効いてきたのは明らかで、ベースはできたと思います。どんなWEBにするのか、そのデザイン、コミュニケーション、facebookやtwitterとの連動、キャンペーン等まさに営業とマーケティングをうまく融合したブランド管理を考えることが大事になってきますね。お客様に育てられてきた良いイメージを生かしながら、どのようなブランド戦略を創りあげるのかは今後の課題です。

購入者の世代別比率、男女比率は如何ですか?

  まず、僕らの特色は、まず男が多いんですよ。よく冗談で、『漢の投信、ひふみ投信』と宣伝したら逆に女性を集めるかもしれないと話しています(笑)。『ひふみ』というやわらかい名前をつけ、色もパステルでフラワーな感じで女子にもできるだけ来て欲しいなと思っていたら、『とにかく男を惹きつけてやまない』みたいなところがあります(笑)。8割が男性で、年齢別には30代・40代が多く、20代もいます。この8:2という比率は何年経っても変わってないので、やっぱり女性の比率を30%位にはしたいですよね。

他社の動向はどうご覧になっていますか?またひふみ投信・ひふみプラスのライバルを挙げると如何でしょう?

  営業でも運用でも参考にできる事は何でも取り入れたいと思って、他社もイロイロ見ています。特に直販の会社はつぶさに見ています。
  よく比較されるのは鎌倉、コモンズ、さわかみとJFザ・ジャパンです。ネット上の動線を見ても多いですね。仲間でもあるしライバルでもあります。個人的なイメージで、さわかみは会社ロゴ同様やっぱり大きな船なんですよ。早くも走らないけれど、ゆったりと大きくてたくさん人もいて安心感がある。鎌倉は銀河鉄道999です。外はレトロなSLだけれど、隠している中身のエンジンはハイテクで宇宙を飛ぶみたいな。僕らはリニアやF1ですね。外見からして走るぞというハイテクな形でやる気満々・ぶっ飛ばす。まぁ、惹きつけているので良いのですが、熱烈な男子ファンに支えられています。このアーバンで格好の良いところ、エッジの立っているところを出した方が良いかも知れませんね。
  ところでライバルファンドではないですが、ベンチマークとして意識しているのはライフネット生命です。行動や考え方を非常に参考にしています。

ひふみ投信の最も特長的な運用方針は何でしょう。

  当初から一貫して『守りながらふやす』運用方針です。4年経た運用実績でも証明されています。ひふみ投信の成績が良い事だけを知っている方は、中小型ファンドで値動きが大きいリスクの高いファンドだと思っている場合が多いのですが、実体は真逆で、どの日本株ファンドよりも値動きは小さいのです。これが実はひふみ投信の面白い特色で、先端のイメージとF1・高パフォーマンスのイメージがありますが、上下の波を極力抑えた運用なのです。きちんとした銘柄選択をしているので、時間的に見ればその会社が成長することによって結果的に資産価値が増えるという哲学で運用しています。専門的にはリスクに対するリターンが高いと説明され、このシャープレシオが一番高かったのでR&I大賞を戴くことができました。
  ひふみ投信の大きな特徴のひとつとして、純資産における株と現金の比率を変更できる設計となっていることがあります。株式を最大50%まで低めて残りを現金で持つことができるのですが、現金15%を基準とし、株に対して強気の場合のゼロから弱気の場合の30%の間を行き来させるのが標準的なアセット・アロケーションの考え方です。ただ例えば極端な例として、ギリシャが投票結果如何でEUを離脱するような状況になった時は、全資産を株にする事もギャンブルですが、株を全部売り払って現金100%にする事もギャンブルだと思います。このようなリスクの高いギャンブルステージにあると判断した場合は、半分を現金にして結果が出るまで様子を見るのも一つの考え方です。勝つ時には勝ちを積み上げておき、ひょっとしたら大暴落が起きるかもしれないよくわからないイベントの時は大きく負けないようにしています。ですから、いつもゼロから50%の間でダイナミックに比率を動かして運用しているのではありません。

現在の運用スキームを前提とした場合に対応可能なファンド規模はどの程度ですか?また純資産総額の上限目標はあるのでしょうか?

  このままどんどん増えてファンドが大きくなった場合、今のチームと戦略を固定してまるで変えない場合の運用限界は300億~500億です。但しチームの規模を拡大したりファンドの運用方法を改善したりするので、ここで止めるつもりはありません。ひふみ投信は日本だけでなく、世界の株式に投資できる設計になっています。大型株の運用を磨く、銘柄数を増やす、外国株を組み入れるという3つの選択肢があります。どのような参入方法があるのか、お客様のためになるのか等の検討すべき事項があり、まだまだ日本株で行けると考えているのでそのまま運用しているかもかもしれません。外株投資は広い地域で銘柄選定をカバーするための調査コスト等が余分にかかります。現在の30億の資産規模ではコストアップしても仕方がないし、且つまだまだ日本株で勝負できるのであり得ませんが、300億~500億規模になった時にはお客様から頂くお金も増えるので、お金は新しいイノベーションに使って行くのだろうと思います。商品の拡大、チームの増強等をすることによって同様のパフォーマンスを出しながら増やすことが可能であると考えています。少なくとも1,000億レベルまでは上げたいと思っています。

ファンドの規模が適正水準を超えた場合、どのような新しい展開を考えていらっしゃいますか?

  運用残高が増える一方で運用限界がある場合、僕らはマーケットに対してアクティブに作用して行く事になると思います。例えば1兆円の運用残高だったら年に100億のフィーが入る大きなビジネスになります。運用会社は工場を建てる訳でもないので、何にコストをかけるかと言えば調査です。調査でお金をかけるのは最優秀なスタッフを集める事で、アドバイスを含めて経営の中に入ることも可能な規模ですよね。現在もファンドが投資している企業へ直接アドバイスする事はありますが、それをバリューアップ・ファンドと特に謳っている訳ではありません。さわかみ投信のように2000億円くらいのファンド規模があれば、例えばシャープの第三者割り当て増資を受けて100億お金を出し、専門チームがじっくり方針を考える(笑)なんて事もできますよね。ひふみ投信はひふみ投信自体として成長する必要があるのだろうと思います。僕らが数千億の規模になった時もいきなり大企業のみに投資するのではなく、強みを生かしてやはり中堅企業やマイクロ・キャピタルを中心に投資をするでしょう。直接ベンチャー投資もあり得ますが、それよりも新興市場を支えるインフラとなり、結果的に投資ファンド等が安心して出口を見つけられるような存在になりたいと思います。
  ピーター・リンチは『行ける』と思ったら業種全体をバサッと買っています。今なら例えば調剤薬局の会社を全部拾って持つような。彼の投資した2000銘柄のうち、1000銘柄が地味で小さな会社です。広く薄く買うと最終的には小さな会社にも資金が回ります。良い会社があれば時価総額が小さくてもひふみ投信が応援して行く、これが正常進化だと思っています。

著書でいいファンドの条件はファンドマネージャーの経験、会社の投資哲学、投資に対する姿勢とありますね。

  良い運用会社には良いファンドマネージャーが必要ですが、ファンドマネージャーがパフォーマンスのためにできることは3分の1です。ファンドマネージャーを守る会社としての投資哲学と販売姿勢も大切でこの三つが揃わなければなりません。
  現在の投資信託の問題は販売会社主導の手数料体系です。いきなり大きなお金が最初に集まり、後は解約ばかりで段々小さくなります。これでは腕の良いファンドマネージャーでも成果が出せません。ピーター・リンチが成績を上げたのも運用残高が右肩上がりで増えたからです。フィデリティには会社として顧客資産を長期的に増やすという強い意志があり、キヨスク型の店舗をたくさん出して直販・間接含めてファンドを大々的に売り出しました。パフォーマンスが良くて常に質の良い資金が流入する好循環で、最初30億だったファンドが結果的に20年で1兆円のファンドになりました。この成功には長期的な資金の流入によるプッシュアップ効果が含まれています。逆に資金が流出する場合は、良い銘柄でも売却する売り圧力となってパフォーマンスが落ちて行きます。彼のマゼランファンドの成績が落ちたのは資金流入が止まって買い圧力がなくなったからです。本には書かれていませんが、彼は実体をよく解っていて資金流入が途絶えた段階で辞めたのです。資金流入と運用成績はとても密接で、少なくとも安定運用ができるよう資金を流出させないことが大切です。銘柄選定の失敗があっても伸びている会社を買うことによってウエイトは薄まります。
  マーケティングは運用を支えます。高名なファンドマネージャーは誰もコミュニケーションが上手ですよね。プレゼン能力が高くて説明上手な人には集金力があります。日本のファンドマネージャーは運用だけで営業は別の部署が担う分業体制です。ファンドマネージャーは営業にコミットしないしお客様の実態も良くわかりません。営業は販売オリエンテッドな瞬間的販売になってお金も入らなくなってしまいます。

現在の投資信託の問題点を一つだけお願いします。

  僕が金融庁の長官なり首相になったら、現在の日本の投資信託の問題を解決するために通したい法案があります。『販売会社は系列の運用会社の商品を扱ってはいけない』。本当の意味での日本の運用競争が始まります。その瞬間に全てが変わります。

いいファンドとはなにか?また、第三者投信評価機関に期待することをお聞かせ頂ければと存じます。

  第三者投信評価機関はどんどん出て来て欲しいです。特にファンドマネージャーがどのような人なのかを開示して欲しいですね。例えば競馬新聞が馬の色艶・毛並み・体調・バックグラウンドを掲載するように、ファンドマネージャーの顔写真つき情報を掲載する投信四季報があればすごく参考になりますよ。鳴り物入りのファンドが、みなしごファンドになって若手にお守りをされている実態もすぐわかるはずです。批判しなくても見えます。開示しなければそれが答えです。黒い影ばかりの顔写真が並ぶ運用会社があったとして、FPがそれを見せるようになれば開示せざるを得なくなるはずです。
  一方で、最近は評価機関から様々な数字や資料の提出を求められることが増えてきましたが、時々その方々は何のために投信評価をしているのだろうと感じることもあります。評価する側の自己満足のためではなく、広く投資家のためになる投信評価機関であって欲しいと思います。

<インタビュアー、記事執筆、写真撮影>
  高橋、白熊、桜町