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レオス・キャピタルワークス株式会社「ひふみ投信・ひふみプラス」-Part1

  先端的な試みが注目を集めるレオスの最高投資責任者の藤野英人氏とマーケティング部長の白水美樹氏にお話を伺いました。

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取材日時  平成24年10月19日  10:00~12:30
場所        レオス・キャピタルワークス本社応接室

藤野様の現在の多岐にわたる仕事概要・活動についてお話を聞かせて下さい。

  運用と営業につきますね。基本的には月~金の平日日中の市場が動いている時が運用、月~金の平日夜と土日が営業と24時間体制です。運用の仕事には会社訪問・調査・発注・管理とありますが、調査の時間が結構長いかなと思います。日中の資料作成が営業の側面を持っていたり、平日夜や土日に経営者の方に会う事が運用調査の仕事だったりする場合もありますが、色々な活動も結局最終的には仕事につながっています。例えばtwitterやfacebookは自分の趣味や楽しみでもありますが、ある意味では営業です。ひふみ投信、レオス、そして自分の三つをできるだけ話題にしてもらう事が大切で、できるだけ多くの人に知ってもらいたいと思っています。レオス・キャピタルワークスやひふみ投信の活動、自分自身の生き方・考え方や人柄を含めて包み隠さず知って頂くという事です。タッチ、つまり触れる機会を増やし、最終的にはお客様がひふみ投信に関心を持って下さればいいなと思っています。レオスというより、これがこの20年違和感なく続けてきた自分のスタイルです。直販ファンドの中でも運用その他業務まで全てやるのは私だけじゃないかなと思っています。仕事という面では『歩く労働基準法違反』かもしれませんね(笑)。
  当社では、2種類のセミナーを開催しています。ひとつはひふみサロンといってひふみ投信の話を全くしないセミナーです。ピアニストをお招きしたり、元オリンピック選手の為末さんに来て頂いてハードルの話をしていただいたり・・・今度はカメラマンの青山裕企さんを招いて写真を撮る事になっています。ある種生涯教育であり、知的好奇心を満たしてもらう場です。しかし、一方でひふみ投信やレオスに接してもらう機会とするマーケティングの要素もあります。もうひとつは「ひふみアカデミー」こちらは、毎月1回ひふみ投信の運用について説明する場です。
  また、『草食投資隊』と名づけてコモンズ投信の渋澤さん、セゾン投信の中野さんとの3名で2年前より長期投資の楽しさや考え方を伝えるための活動を行っています。これが東京証券取引所にも評価され、講師として、『+YOUニッポン応援全国キャラバン』に参加し、既に全国60箇所でセミナーを開催しています。参加者はサラリーマンが中心で、証券会社主催のセミナーに比べて若い人が多いのが特徴です。30-40代が中心で次いで50代・20代でしょうか。60代・70代が少ないのは、紙や電話媒体でなくWEB媒体だというのも必然的な要因の一つだと思います。いずれも根本的にその場でひふみ投信をバンバン営業することはないのですが、まずは「投資」に興味を持っていただくことが重要なので、ある種営業の一環ですかね。

大学の講義はどのようにつながるのでしょう。

  もう12年ほど明治大学でベンチャーファイナンスの講義をしていますが、これは人的なミッションです。日本の運用業の厚みを増やすためにも、僕は大学・アカデミーと実務がもっとリボルビングバー・回転扉のように機能すべきだと思っています。アメリカではコロンビア大学で教えた人がゴールドマンへ行き、またハーバード大学へ戻るようなことも一般的です。日本の場合、学者は実務のことを全く知らずに空想の世界で運用を研究し、実務の人は最新のアカデミックな情報を得ていないので学術結果を運用に反映できません。互いに分断され馬鹿にし合っていて良くないですよね。一部の研究所の人が論文を書いてアナリストジャーナルに投稿しますが、これもどちらかと言えば趣味の世界との位置づけになっています。もっとアカデミックと実務が一体化し、且つそれが若い人と一体化しているのが大事という思いで教えています。
  また教育は広い意味における最大の投資なので、投資家として当然だろうという気持ちもあります。講師をしていると多岐にわたるリターンがあります。例えば若い人と接することによって最近の若い人の考えや流行、就職の状況等がよくわかります。教壇でチョークを持って大学の先生のモードに入ると意外とリフレッシュできます。楽しいですよ。ネクタイを締めて聴きに来てくれる卒業生もいます。日本の大学には昔からの「モグリで勉強する」伝統が残っているし、尊ぶ雰囲気もあります。毎週夕方6時から9時という長い時間教えるのは結構大変ですが、2つの顔を持つメリットは十分あります。学生はとても純粋で思った以上にこちらの話を重く受け止めてくれるので注意も必要ですが、実はこれがひふみ投信でのお客様対応を行ううえで役に立っているかもしれません。このような活動が複合して一つの価値を成しているのだと思います。
  ところで若い一世代に対する直接的な教育も大事ですが、その親を通じた間接的な教育も大事だと考えています。何か思想を植えつけるのではなく、情報提供によって事実を知らせて誤解や偏見を解く必要性を感じています。例えば投資・就職に対する大企業神話が現状に合っていなかったり若者を苦しめていたりします。メスを入れなければならない事は山のようにあり、社会人教育や生涯教育は大変重要だと考えています。

『ひふみ投信』を直販投信とされた背景や問題意識をお聞かせ下さい。

  販売方式はとても重要です。ただ、まず一番大事なのは『商品』だと思いますね。良い商品を出すという事です。その良い商品をどうお届けするかという事ですが、適切な方法でお届けすれば良いのであって、僕たちは別に直接販売にこだわっている訳ではないのです。直販で始めたのは、良い商品を一番最初にお届けする適切な方法が直販だったという事です。対面販売を否定しているのではありません。
  ただ現在の対面販売は結果的に回転売買の繰り返しに近いような状態です。これを変えた、若しくは変えるような体系であれば対面の方法で販売することもやぶさかではありません。現状の製造~販売の仕組みに乗せてしまうと、僕らにとってもお客様にとってもあまり幸福な関係を築けないという懸念があったので、まずは直販でお客様としっかりコミュニケーションできるようにする方式を選んだのです。これがどこかの証券会社に任せた場合、証券会社が次ぎの新商品を出して、やる気を失った瞬間に私たちは販売手段を失ってしまうんですね。いくら自分達が頑張ろうと思っても売る手段を失えば、結果的に身動きが取れなくなります。販売会社手動ではなく、自分達で売れる体制を作っておく事はすごく大切でしょう。

SBI証券のみで販売するひふみプラスを設定されたのは何故でしょう?今後対面販売が中心の証券会社・銀行での販売を検討されることもあるのでしょうか?

  ひふみ投信を設定して3年半くらい経った後、ひふみプラスがネット最大手のSBI証券を通じて販売されることになりました。SBIさんに口座がある方は今すぐにひふみ投信を買いたいからSBI証券で扱って欲しい、また、投信購入のために直販で当社に口座を作るのは面倒などの要望が以前からあったので、それに対応しました。SBIさんはネット証券最大手でもあり、かつ取り扱いを望むご要望も一番多く、お客様にとっては利便性が高まるはずです。また、Webから購入していただけばノーロードですし、信託報酬もひふみ投信と同様に設定されているのが大きなポイントです。
  お客様の利便性はとても重要だと思います。お客様がどこからでも好きなときに買えることが重要であって、販売方式在りきではないのです。つまり直販でなくとも、ネットでも証券でも都銀でも地銀でも、本当はお客様が一番利便性の高いところで売られているのが1番良いはずです。販売方法を固定化する考えは持っていません。ひふみ投信という良い商品を幅広く世の中にお届けする事が僕らの一番の願いです。
  もう一つSBI証券からスタートした理由にファイナンシャル・プランナー(以下、FP)による対面販売があります。FPはこれからの一つの重要な販売ルートになるでしょう。FPさんとは接する機会も多いのですが、この2・3年のレベルアップはすごいと思います。既存の金融機関の営業スタイルに問題意識があり、お客様目線でアドバイスしながら稼ぐ人も増えています。今までFP資格取得の試験は通ったけれども・・・という人が多かったのですが、資格がビジネスを成功させるのではないと理解している人が、きちんとしたFPというサービスを確立し、優良な顧客を得るようになってきました。人間的にもビジネスマンとしても尊敬できるそのようなFP達が応援してくれるので、単なるボランティアとしてのアドバイスではない取り次ぎの場合はフィーが入るようSBIさんのIFAチャネルを使っているという面があります。

ひふみ投信の『資産形成応援団』や、ひふみプラスの『運用残高にスライドして信託報酬を逓減する』仕組みについてお聞かせ下さい。

  これは、やはりお客様の資産形成のために、長く保有して頂きたいとの思いからです。僕たちにとって既存のお客様は非常に大切です。私たちから見ると、購入していただいた際に販売の手数料を頂いていないので、購入して頂いた瞬間の収益はゼロでお金は入ってきません。むしろ口座開設その他のコストだけが発生します。運用させて頂いてやっとフィーを頂くことが出来るので、キャッシュが入ってくるタイミングが遅れ、ビジネスとしては先行投資が大きくなります。販売した瞬間に販売手数料として利益が入る証券会社などの販売会社とは収益の構造が違います。僕たちはなるべく低回転で既存のお客様に長くべったり持って頂きたいし、これがお客様の資産形成にとっても良いと考えています。このWin-Winの状態を築くため、長期投資を促すインセンティブをつけようということで『資産形成応援団』という長く持てば持つほど信託報酬が安くなるしくみを考えました。長く保有して下さることに対する感謝として、信託報酬の一部を実質キックバックして還元する方式です。ある種理想論から考えたことですが、理屈も通っていると思います。キックバックがもらえるようになったら、パフォーマンスも悪くないしこの権利を失うのは惜しいし、じゃあ持ち続けようかという事になるんじゃないかと思うんですよね。
  お客様との関係を維持するためのリテンション・コストと新規顧客の獲得コストの2つを考えた場合、多くの会社が後者に多くのリソースを割いています。前者を考えている運用会社は意外になくて、知恵もないし、今でもあまり関心がないんですよね。やっぱり販売会社主導だからでしょうか。ひふみ投信は僕たち運用会社主導の商品なので実現できたのです。
  また、この5年・10年という期間は景気循環も意識しています。たまたま悪いところで買ったお客様が我慢できずに売るのを極力防ぎ、サイクルが一巡したところで世の中がこんなものだと体感して欲しいという裏に隠した思いもあります。

御社は企画から実現までが早い印象ですが、システム開発におけるISホールディングスのITサポートが大きいのですか?

  現在、運用させていただいている公募投信がひふみ投信が1本しかないからできた面もあります。もし複数ならやらなかった可能性もありますね。
  『自由積み立て』という業界初の試みは、毎月自由につみたての購入金額を変更したり、引き落としの頻度を2ヶ月や3ヶ月に一度へ設定したりすることもできる機能ですが、企画してから実現するまで半年と短かったですね。親会社がIT会社だというのもすごく大きかったと思います。このサポートは、他の直販の会社と比較しても優位でしょう。ホームページ等もまだ圧倒的レベルとは言えませんが、少しずつ細かく改善を重ねて来た結果、直販の会社というより投信業界の中でもわかりやすくなっていて、実は大きな強みになっていると思います。

Part2 ≫
<インタビュアー、記事執筆、写真撮影>
  高橋、白熊、桜町