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アライアンス・バーンスタイン「財産設計 2020/2030/2040」-Part2

  アライアンス・バーンスタイン株式会社で、投資教育のための多岐にわたる活動をされている後藤順一郎氏にお話を伺いました。“自分年金”をキーワードにAB未来総研、DC推進室、「財産設計」シリーズのプロダクト担当と幅広い業務に携わってらっしゃいます。今回は「財産設計」シリーズのプロダクト担当ということでインタビューを受けて頂きました。 商品概要ページはこちら >>

取材日時  平成24年8月14日  14:30~16:30
場所        アライアンス・バーンスタイン 東京駅を見下ろせる会議室にて

「財産設計」シリーズのライバルファンドはありますか

  個別の商品で一番手強いと考えているのがSBIアセットの「セレブライフ・ストーリー」です。非常に多岐にわたる分散投資をしているので最先端なものになっています。残高ベースでは最初に出たターゲット・イヤー型ファンドと思われる野村アセットの「未来時計」が手強いと考えています。
  ただ勿論こういったライバルはありますが、商品の中身には大きな違いがあります。他社のファンドは65歳までに段々と低リスク化し、それ以降は安定運用となっていますが、私どもは65歳を過ぎても株式で積極的に運用し、80歳を過ぎた所で低リスク運用します。アメリカでは65歳までしっかり運用することをTo the Retirement、65歳を過ぎても積極的に運用していくことをThrough the Retirementと区別しますが、後者のターゲット・イヤー型ファンドは日本では私どもしかありません。したがって、本当の意味では競合はいないと言えます。

「財産設計」シリーズの理念・運用哲学は何でしょう

  弊社のターゲット・イヤー型ファンドの目的は「退職後の生活資金を賄うこと」です。一般的に投資信託は目的をそこまで明確化していないと思いますが、敢えて明確化しました。そしてだからこそ、それに見合った戦略、つまり退職後お金が長持ちするような投資戦略が必要です。「長生きリスク=生きているうちにお金がなくなってしまうリスク」を極力減すことを目標とすれば先ほどのThrough the Retirementとなり、結果として株式が多いファンドに繋がります。このように一貫しているところが、私達の理念であり信念となっています。退職後の生活資金をリスクの高い株式で運用して資産が減ることを懸念する向きもありますが、一方で生活資金が株の失敗で賄えなくなるリスクと、預金にずっと預けておいて将来十分なお金が積み上がらなくなるリスクとどちらかが高いかと考えれば、私たちは後者のリスクの方が高いと考えているんですね。
  退職後の生活は皆さんが思っているより長いので、長期投資が出来るという大前提のもとでやっています。今の日本ではインフレリスクにピンと来ないかもしれませんが、長期で見ればいつ起こってもおかしくない状況です。市場リスクだけではなく、長生きリスクやインフレリスクともバランスをとり、様々な状況変化を考えて対応できる形にしておくことが重要だと言えます。

購入者の世代別比率や男女比率、実際の手応えは如何ですか

  インターネット経由のデータで申し上げると、世代別には30代が半分弱、次に40代、20代、50代の順に多いですね。ここはある程度狙い通りだったのですが、当初の想定と大きく異なったのが男性の比率が多いことです。『女子の幸福論』の本を手がけるなど、これだけ女性向けにやっても男性の方が圧倒的に多かった事をネガティブに解釈すると、私達の女性に対するメッセージの出し方がまだまだ不十分であると言えます。逆にポジティブに解釈すれば、女性向けに発したものにも男性が興味を持ってくれたと受け取れます。賛否両論あるのですが、この本は「面白く・わかりやすく」を優先し、ハードルを下げてスタートのための踏み台にしてもらうことを目標にした最初の「0.5歩」という位置づけでしたから。

どんな投資スタンスを持った資産形成層の方に向いているのでしょう

  仕事・家族・趣味が忙しく、投資の必要性を分かっていても実際に行動を起こせない人をターゲットにしています。例えば年齢ごとに資産配分を変えていく必要があるとすれば、毎年リアロケーションしなければなりません。これは面倒で手間もかかります。このような方にターゲット・イヤー型ファンドのような商品を通じ、学ぶきっかけを作ってもらいたいと思っています。そして弊社のその一貫した投資教育の結果、自分でもっと投資判断をするタイプのファンドへ移る顧客が出たとしても、それは構わないと思っています。ただその際にもある程度規律をもった投資信託を軸とし、それ以外の個別投資商品はサテライト的に運用してもらいたいと考えています。
  ターゲット・イヤー型ファンドを推奨していくと「フィナンシャルプランナー(以降FP)と競合するのでは?」と言われることがあります。しかし私たちは「競合しない、むしろ親和性が高い」と考えています。なぜなら、まずはターゲット・イヤー型ファンドをコア資産とした上で、お客様の情報に基づいたサテライト戦略を考えるところにFPの方々の付加価値があると考えているからです。FPの方々も最初の購入のアドバイスは出来ると思いますが、メンテナンスは個々人に任せる形になって放置されるケースもあります。しかし、ターゲット・イヤー型ファンドであれば少なくとも年齢に応じて資産配分が変わっていくので、ベースとして適しています。このような役割分担で良い関係が築けると思っています。
  株の長期的な収益率に疑問を感じる方は、保険を買うのが良い場合もあります。ただ今の保険は定期預金程度のリターンしかなく、「今、支払わなければいけないお金」が非常に大きくなります。株式のリスクプレミアムに頼った方が少ないお金で将来の十分な蓄えを用意できるメリットがあります。このトレードオフをどう考えているのか?例えばアメリカの株式に昔のような大きな成長やリターンが期待できないとしても、新興国などの新たな市場に成長性はあるのではないでしょうか。そう信じる信念が強ければ株式にかなりのウェイトを割く「財産設計」シリーズのような商品が適切です。定額年金・終身年金のようなものと「財産設計」シリーズを比較されるケースがありますが、ゼロかイチかの話ではなく、どれだけリスクプレミアムに信頼を置いているのかによって濃淡を変えていくのが良いと思っています。

ブレンド戦略運用部門の仕事内容は

  ブレンド戦略運用部門はアセットアロケーション全体を担っている部門です。長期で維持すべき資産配分も考えますし、機動的に短期の市場動向を見ながら資産を動かすこともあります。
  アメリカではターゲット・イヤー型ファンドにも値動きであるボラティリティーをコントロールするファクターを入れ、非常にリスクが高くなる時期には株の比率を減らすものも提供していますが、「財産設計」シリーズに関しては市場環境を見ながら動かすという短期的な部分は入っていません。
  個人投資家というよりは企業年金向けなのですが、このチームは一つの戦略として私達が良いと思うものを既成品として提供するだけではなく、お客様のニーズを聞きながらオーダーメイドの資産配分戦略も考えています。企業年金は年金制度によって負債構造が全く違ってきますので、そういった負債構造を年金アクチュアリーが分析しながら最適なアセットアロケーションを組むというもう一つの重要な役割があります。
  海外オフィスでは全て自社のファンドを使うという訳ではなく、他社のファンドを導入することもあります。例えば他のグローバルな大手運用会社と組んで確定拠出年金向けの商品を組成するなど、社の枠を超えた商品開発もこのチームは行っています。

短期的なリスク管理のためのリバランスはしないのですね

  「財産設計」シリーズでは、市場を見て例えば下落している株を減らすようなことはしません。ただし機械的なリバランスを提供しています。その機械的なリバランスとは、例えば±5%と、ある一定のレンジを決め、そのレンジを超えた時に半分戻すものです。例えば50%の中央値から55%まで+5%のズレが生じた時には、52.5%まで戻すことになります。リバランスをするとコストがかかるため、そのコストの影響を考えれば完全に中心値まで戻すのは良くありません。それを機械的にやっています。リバランスは機械的にやることこそが何度もお話している行動ファイナンス上とても重要だからです。それをプロであってもしっかりと続けて行くことが今のスタンスですね。
  短期的なリスクを懸念する必要があるのは、投資ホライズンが短くなっている機関投資家であり、特に超長期の投資ホライズンを持つ資産形成層の投資家はあまり気になくて良いと考えています。リーマン・ショックで大きく下落した後も市場はある程度戻しています。運用を止めなかった長期の投資ホライズンを持つ投資家にとっては、途中の評価損益増減の問題でした。一方、機関投資家は一年ごとに運用成績を上げて行かねばならず、短期的な資産配分の調整が必要になります。ただ、個人投資家の方にも意識しなければいけない局面があり、それが定年退職後です。資産形成の時期にはたとえ市場が下がったとしても、下がった時に更にお金を入れることができ、上がったらもっと増えるのでむしろラッキーと考えることもできます。一方、お金を引き出す局面では市場が下がったタイミングで引き出すことになりますので、その後の反騰を十分に捉えることができず大きなダメージとなります。したがって定年退職後は短期的なリスクを意識する戦略があっても良いとは思います。

ファミリーファンド方式ではなく、ファンド・オブ・ファンズ方式としている理由は

  大きく2つあり、1つめはテクニカルな理由です。REITは設定当時は制度上ファミリーファンド方式で買えませんでした。従ってファンド・オブ・ファンズ方式とする必要がありました。
  より重要な理由は、「財産設計」シリーズが40-50年の長期にわたって運用される商品なので、その間の資本市場の変化に応じて投資対象を柔軟に変える必要があるという事です。このような場合に対応するにはファンド・オブ・ファンズ方式の方が良いのです。
  資本市場自体が変わってくるという話としては、例えば物価連動国債があります。アメリカのターゲット・イヤー型ファンドでは投資対象となっていますが、日本のマーケットは非常に小さく、2008年頃から歪んだ価額がついて機能していない状態です。私たちは一つの資産クラスとしては不適切と判断し、残念ながら「財産設計」シリーズへの組み入れを見送った経緯があります。ただ、今後この市場が育てば、インフレヘッジとしての新規組み入れは当然あり得る選択です。このような場合に柔軟に動けるようファンド・オブ・ファンズ方式にしています。

ファンドの主な関係法人との役割分担や意思決定プロセスについて教えて下さい

  基本的にはグローバルに4拠点を採択していますが、その中でもベースになるのがニューヨークの本社です。東京で行っている日本株の一部を除き、各運用はニューヨークで意思決定されています。それ以外の拠点は、「財産設計」シリーズが投資しているアクティブ運用のリサーチ拠点として活用しています。
  組み入れているファンドをパッシブ運用にしなかった理由は、やはりアクティブ運用で付加価値が付けられると考えているからです。例えば外国債券市場で、ベンチマークに入っているからスペインやイタリアをたくさん持つという思考が停止した状態の運用は良くないと思うのです。アクティブ運用は価値の増加が見込まれるものに投資し、超過収益であるαを追求する前提ですが、それ以前に投資すべきでないものに投資をしないこともあるべき姿だと考えています。それを行っていれば付加価値として超過収益はついてくるはずです。

最後に、いいファンドとは何かと、第三者投信評価機関に期待することをお聞かせ下さい

  いいファンドとは「人によって異なる」もしくは「目的によって異なる」相対的なものと言えます。例えば、私共の「財産設計」シリーズは老後の資産形成にはいいファンドだと胸を張って言えますが、この投資信託が3年後に必要な住宅資金にいいファンドとは必ずしも言えないと思います。ファンドが良いか悪いかは目的に合うかどうかが非常に重要です。よくダブルデッカー型が悪いと言われますが、目的に適うならそれも構わないと思っています。皆に売りつけるのは良くない商品でも、ニーズのある人に売るなら問題ない場合もあります。私共のように投資信託の目的を限定しているところは少ないと思うのですが、あえて絞ることできちんとメッセージを伝えることがマーケティング戦略だと思っています。

  第三者投信評価機関に期待したいのは、「このファンドがこういった目的を有している人たちに適したファンドです、という定性データや情報を出す」ことです。第三者機関は定量データで分析することがほとんどですが、運用パフォーマンスのランキングを全運用期間でグラフ化すると、上位(または下位)ファンドの順位は、その後下位(または上位)になったりと安定しておらず、『スパゲティーチャート』と呼ばれるくらい絡みあった図になります。つまり過去のパフォーマンスは将来を占うためにそれほど重要なものでなく、定量データよりも定性データの方が重要だと考えています。
  また、運用パフォーマンスは、結局最初と最後の時点で決まるものです。したがって毎月購入する積立投信を続けている場合、その投資家にとって重要なのは基準価額の動き方になりますので、最初と最後だけの定量分析による運用パフォーマンスの意義は低くなります。そのようなこともあり、より定性的な観点で、このファンドはどういった人に適しているかという情報が投資家目線で必要だと思います。巷間でそのようなWEBサイトはないですよね。本日私が語らせて頂いた投資の理念もそちらで解釈し直し、実はこういう投資家に向いている等のコメントなどが加えられるとより付加価値がついて面白いと思います。

≪ Part1
<インタビュアー、記事執筆、写真撮影>
  高橋、白熊、桜町