投資信託 - いいファンドのセレクトサイト | ランキング情報も充実 | 投資信託評価機関でありアセットマネジメントビジネスに専門性を持つ金融ITベンチャーが分析 | 6つの視点で投信評価

注目の投資信託

アライアンス・バーンスタイン「財産設計 2020/2030/2040」-Part1

  アライアンス・バーンスタイン株式会社で、投資教育のための多岐にわたる活動をされている後藤順一郎氏にお話を伺いました。“自分年金”をキーワードにAB未来総研、DC推進室、「財産設計」シリーズのプロダクト担当と幅広い業務に携わってらっしゃいます。今回は「財産設計」シリーズのプロダクト担当ということでインタビューを受けて頂きました。 商品概要ページはこちら >>

取材日時  平成24年8月14日  14:30~16:30
場所        アライアンス・バーンスタイン 東京駅を見下ろせる会議室にて

AB未来総研ではどのような活動をされているのでしょう

  今までチームメンバーで共有しながら活動していた“AB未来総研”というブランドをより明確な位置付けにするため、メインで取り組んでいた戦略ソリューション室を7月1日からAB未来総研に変えたところです。アセットマネジメント部門で運用者としてプレーするのではなく、お客さま周りであるクライアント本部でお客さま側に立った投資戦略のアドバイスやマーケティング戦略を考える役割を担っています。
  AB未来総研では機関投資家と個人の資産運用の戦略や、ESG(Environmental,Social,Governance)を意識した運用に対するリサーチ等を行っています。私はチーフ・リサーチャーとして、特に機関投資家と個人向けの資産配分や資産運用のあり方をメインテーマとしています。個人投資家向けにはセミナーで講演したり、慶応義塾大学では非常勤講師をしている他、今はダイヤモンド・オンラインのWEBサイトで『オヤジの幸福論』も連載しています。また、数年前から金融に興味のある学生団体Share-Projectに会社として協力しているのですが、今年は私が講演することになりました。このような形でこれから資産運用を始める方々に「金融リテラシーを身に付けてもらいたい」等のメッセージを発信しています。将来的には資産運用業界に対し、「資産運用業界のあり方」を提言していきたいと考えています。

DC推進室は如何ですか

  アメリカの確定拠出年金(以降:DC)ではターゲット・イヤー型ファンドが普及し、全体の82%を占めています。今の日本のDCは規制が多くてなかなか自由にできませんが、規制緩和などでより良い制度にしようという動きも起きています。私たちは実際に規制緩和された場合にすぐ動けるよう、今は基本的な業務をやっている状況です。具体的にはメインとなる運営管理機関とのリレーションを構築したり、DC業界の中でのブランディングなどをしています。

「財産設計」シリーズのプロダクト担当とはどのような仕事でしょう

  主に販売会社向けに商品の戦略などを説明する役割を担っています。今は『自分年金』をキーワードにしてマーケティング戦略を企画立案しています。
  最近色々な所で触れる機会が多くなった『自分年金』ですが、実は既にアパート運営や土地管理などのために商標登録されています。ただ金融業界では以前に他社が申請して却下された経緯もありますので、私たちは「同じカテゴリでないこと」と「既に一般的に使われていること」として使用しています。状況を見ながら商標登録も考えますが、その場合も『自分年金』を自分達のものにするためではなく、この言葉を使うときに制約を受けないようにするのが目的です。
  その他には海外オフィスとの運用に関するやり取りがあります。例えば海外と「今の商品をより良くするためにどうすれば良いか」などをディスカッションします。また、各商品で運用実績の優劣が発生して販社の方が関心を示した場合、各運用部門に確認をしてお答えします。基本的にこのターゲット・イヤー型ファンドは、決められたグライドパスと呼ばれる年齢ごとの資産配分に則って淡々と運用するのがベースであるため、資産配分の変更などで日々やり取りすることはありません。
  ただ当初計画時には50ページ強のリサーチペーパーを作りましたので、海外とのやり取りが多く発生しました。今回の「財産設計」シリーズは、着想が2005年、立ち上げが2009年5月なので足掛け3~4年の企画ですね。

今なぜ資産を保有する高齢者でなく、若者をターゲットとするのですか

  潜在的ニーズが一番強いからです。今の若者は若ければ若いほど将来受け取る年金額が少ない可能性が高いため、老後に対する不安が大きい世代です。そのような問題を抱えた層に対してソリューションを提供するのが運用会社の一つの使命だと考えています。主に20代~40代をターゲットにしています。
  若者向けの商品というのはすぐにビジネスにはなりません。すぐに収益を得ようとすれば、必然的に高齢者向けになってきます。しかし、現在資産を持っている高齢者をターゲットとしたビジネスは、この先暫くは成功すると思いますが、その資産が相続などで移転した場合に先細りとなります。将来に向けては、やはり資産形成層に網をかけておくことが必要です。実際にそうなってから始めては、特に私達のような認知度の比較的低い外資系資産運用会社としては遅いため、常に準備しておくことが必要だと考えています。
  個人的な意見ですが、金融機関以外の例えばメーカーなど一般企業は、メインのビジネスモデルが機能している間に新しい種を蒔き、メインがダメになった時にその中のどれか育った種でビジネスを続けるというのが普通です。私達がやっていることは「種蒔き」なので失敗するかもしれませんが、何らかの新しいことはやっておく必要はあります。そういう意味で、金融機関としては新しいことをやっていますが、ビジネス一般としては当たり前の行動なのです。

販売会社に対するマーケティング戦略をお聞かせ下さい

  ①地銀、②インターネット証券、③DC、の3つのチャネルに分け、担当する3つのチームが一体となって動いています。この週末も福岡営業所に3つのチームが集合し、カジュアルなディスカッションをしてきたばかりです。
  地銀の資産形成層の囲い込みは都銀に比べて積極的です。というのも、地銀の主な顧客が年配層だからです。その方々が亡くなって若い代に資産相続された場合、若い人はメガバンクを使っているので顧客基盤を失う可能性があります。そのため子供や孫世代とも若い時から何等かの接点を持っておく必要があり、その方法の一つとして積立投信が利用されています。ですから地銀さんは私達の考え方に賛同してくれることが多く、いくつかの地銀(滋賀銀行、福岡銀行、熊本ファミリー銀行、親和銀行、きらやか銀行の5つ)が販売会社となってくれています。「財産設計」シリーズは資産形成層の取り込みという長期的目線による目的に適うだけでなく、シニア世代の退職金の取り込みアプローチにも利用されています。ターゲット・イヤー型ファンドの中には定年になったら終わるタイプもありますが、私どもの「財産設計」シリーズは定年を過ぎてからも積極的な運用を続ける独自性があります。例えば「財産設計2020」は定年退職者にとっても適したファンドなのです。
  インターネット戦略は、3つのチャネルの中でも特に重要で本丸と言えるでしょう。まさに若い人々の取り込みを狙っています。販社は楽天証券です。自分年金に関するコンテンツや動画の配信などを用意し、関心を引いて興味を持ってもらう事を考えています。インターネットでのキャンペーンについては、想定以上の手応えがあります。「財産設計」シリーズのPRサイトは楽天証券サイトのコンテンツの中で一番成功した事例と言われており、通常1・2ヶ月のポイントキャンペーン期間が伸びて3ヶ月になることが確定しています。楽天証券社長がある情報誌のインタビューにおいて積立投信で顧客を取り込むこと、特にその中のメイン商品としてターゲット・イヤー型ファンドを軸に据えるという事をおっしゃっており、力を入れてくれています。これは単に商品としての魅力だけではなく、商品以外の面白い取り組みを評価してもらっていると理解しています。
  DCに関してはいつでもビジネス化できる状態にあります。商品のことは前面に出さず、投資教育を最重要視しています。昨年、年金確保支援法が成立して継続的投資教育が義務化されました。その継続的投資教育の一つのツールとして、弊社が編集に参画した『女子の幸福論』を始めとするやわらかコンテンツをぜひ使ってみないかとアピールしています。実際に運営管理機関と一緒にやって行く話も進んでいます。

現在の受益者と将来の受益者たる潜在的投資家に対しては如何ですか

  まず現在の受益者をターゲットとした戦略です。積立投資はすぐやめてしまう人が多いので、受益者に向けては常に情報発信をして啓蒙することが重要だと考えています。その一つの方法としてメルマガを利用しています。現在、楽天証券のお客様には2週間に1回配信し、連載として読んで頂く事でなるべく積立投資を続けてもらおうとしています。これが現在の基本戦略です。

  潜在的投資家層に対する戦略は、これから一番面白いところですね。今はまだ投資に関心を持たない人にどう訴求するのか?その一つの手段として異業種とのコラボを考えています。例えば生活消費財関連の会社と手を組んだり、女性誌などのメディアでマネー特集を組んだり『女子の幸福論』の書評を入れたり・・・といったことを既存の考え方に捉われず柔らか頭で議論しています。一つ一つ地道な活動を続けることで、自分たちの可動範囲を広げることができると考えています。
  投資が必要になる前の段階から、いずれ投資が必要になることを刷り込みで植え付ける啓蒙活動も大事です。私が現在大学生に講義で教えているのは株・FX・投資信託といった個別の商品知識ではなく、これから生きていく上での投資の必要性や日本の年金制度に対する正しい知識など、極めてFPに近い内容です。講義ではライフイベント表を作ってもらい、キャッシュフローを考え、運用の大切さを知ってもらいます。その運用の一つの手段として、株やFXがあり、投資信託があります。株やFXなどのようなすぐリターンに繋がりそうな商品は若い世代に興味を持ってもらいやすいけれど、投資信託は年配の方向きというイメージがあります。ここで行動ファイナンスの話になりますが、どれだけ知識があっても人間にはある種のバイアスがあり上手く運用するのは難しいため、バイアスを回避できるよう一定のルールのもと運用してくれる専門家に任せた投資信託に一定の合理性があるという話をしています。もちろん個別資産の運用から入っても構わないのですが、押さえてもらいたいのがこの行動ファイナンスです。人間は目先の利益に惑わされやすいのです。結果的に上昇相場の高値で買ったものを暴落した底値で狼狽して売るような愚を冒さないように、一定のルールのもとでやってもらえる投資信託のようなものを軸に、サテライトとしてFXとか個別銘柄をやれば良いのではないかと考えています。
  ちなみに弊社は運用会社の中でもこの行動ファイナンスに力を入れている方で、6月に地銀で2回セミナーをやり、9月からはイボットソンの『投資信託事情』で連載を始める予定です。個人投資家向けというよりは女性販売員向けで、お客さまの行動特性を理解した上でそれに合ったアドバイス内容について触れていく予定です。『投資信託事情』はプロフェッショナルな人向けの雑誌ですが、PRの観点からはもっと一般の人向けの媒体でメッセージを出していくことも大事だと思っています。例えば「財産設計」シリーズは去年、個人投資家向けに人気のある『ZAi』に載りましたが、こちらの読者は既に投資に興味を持っている層で、これから興味を持つような人をターゲットとしたい私達にはまだ少し考える必要もあると思っています。日本人のお金に対する感覚として、「お金は汚いもの」というイメージがあるので、異業種の会社は自社の商品とお金を扱っているものとを繋げるとブランド価値が下がると考える傾向もあるので、そういう点も考慮しながら動いています。

金融と旅行は近いものがあると考えているのですが(異業種とのコラボという話に関連して)

  その通りだと思います。二つをつなぐキーワードとして「体験」があります。その体験を上手く活用しているのが鎌倉投信で、投資先の企業への見学ツアーを行っていますよね。私達もそういったことを上手く活用していきたいと考えています。既に運用会社自体の見学ツアーというものも企画・実行しており、楽天証券と弊社の大きなスペースで個人投資家向けのセミナーを行ったことがあります。特に外資系金融機関はなかなかイメージしづらいので、実際に来て頂いてイメージを持ってもらうことが重要だと考えています。

他社動向をどのようにご覧になっていますか

  一言で言うとあまり気にしていません。例えば最近、国際投信が「トレンド・アロケーション・オープン」のように積立投資を意識した商品を出し、“積立一年生”というコラムを作りました。また、SBIアセットは「セレブライフ・ストーリー」というターゲット・イヤー型ファンドを立ち上げました。私たちはこれを非常に良い動きだと考えています。小さな市場ではまだパイの奪い合いを懸念する必要は全くなく、むしろ様々な業者がメッセージを発信することで社会的な認識を高めてもらい、それでパイ全体が大きくなることが重要だからです。このような動きをする運用会社がもっと出てくる事を歓迎しています。
  また直販なのか、大手の販社経由なのかという違いはあまり考えていません。色々手広くやっている私達に比べ、直販の方がメッセージがシンプルかつ単一であるという印象はありますね。大手がプロモーションをすることで、メッセージの浸透度合いは変わると思います。そのため、双方がコラボして行っていくのが大切だと思います。直販も含めて一緒に盛り上げていきたいですね。

Part2 ≫
<インタビュアー、記事執筆、写真撮影>
  高橋、白熊、桜町