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三菱UFJ国際投信株式会社「eMAXIS」

  三菱UFJ国際投信株式会社 土生氏、水野氏、四方氏に、インタビューを行いました。

取材日時 平成26年7月24日
場所 三菱UFJ投信株式会社本社

eMAXIS(イーマクシス)というファンドシリーズを設定した背景と問題意識についてお聞かせください。

<土生シニアマネージャ>
 eMAXISシリーズを設定した2009年10月は、既に楽天市場やAmazonなどインターネット市場の商品取引が活発で、20~50代のネット利用率も高く、情報収集もインターネットが主流になっていたことから、「金融商品もネットにマーケットがあるのではないか」と考えていました。
 また、毎月分配型ではなく、複利効果を含むトータルリターンを狙っていくファンドを必要としている資産形成層の方々も多くいらっしゃるのではないかと推測していました。
 そこで、インデックスファンドを設定して、“低コスト且つ豊富なラインアップ”の商品を“ネット中心”に提供することで、投資家のみなさまに自ら主体的に選んで組み合わせていただける資産形成の道具を提供したいと考え、インデックスファンド・シリーズのeMAXISを立ち上げました。

eMAXISの最も特長的な理念や運用哲学をお聞かせください。

<土生シニアマネージャ>
 最も特長的な理念は、“お客様の資産形成の道具として使っていただける、より身近なファンドでありたい”というものです。
 最初、eMAXISは8ファンドからスタートし、お客様自身がそれぞれのパーツを組み合わせ、資産形成の道具として使って頂きたいというのが、このファンドの特長的なコンセプトでした。その後も、お客さまに「どんなファンドが必要か」アンケートを取ったりして新ファンド(全世界株式ファンド、新興国債券ファンド)を立ち上げました。その頃、お客様の声を聞いていると“分散投資は有効”ということはわかるけれども、「どうやって組み合わせればよいか分からない」という意見が多くありました。お客さまご自身で選んで組み合わせて欲しいという当初の考えに加え、複数のファンドがワンパッケージになったバランス型ファンドをご提供することで、手間の要らない資産形成の道具としてeMAXISを幅広く多くのみなさまにご利用いただけるように致しました。その後もお客さまのニーズを踏まえ、現在15本のeMAXISファンドラインアップとしています。
 ファンドを運営する哲学としては、販売手数料・信託報酬などお客さまにご負担いただくコストを抑え、インデックスとの連動を管理する上での個別銘柄の売買コストを最小化することを常に追求しています。
 7月末現在、お取り扱いいただいております販売会社のeMAXISの販売手数料は全てゼロです。また、eMAXISの信託報酬は業界のアクティブファンドを含む各資産のカテゴリーで見てもかなり安い水準に設定しておりまして、長期で資産形成をする上で有効になると考えています。また、投資をこれから始める方々に投資する、しないを含めた投資判断をしていただくための情報提供やイベントにも取り組んでおります。

最近のシリーズ残高はどのように推移していますか?

 eMAXIS設定以来5年弱で1000億円を超えました。残高が増加することはより多くのお客さまにご支持頂いていることなので素直にうれしいです。加えて、残高の増加が5年間右肩上がりになっており、一過性のものではなく長い期間にわたって投資家さまのご支持をうけていること、またeMAXISに投資いただいているみなさまの輪が広がっていることにうれしさを感じます。

購入者の世代別や男女比など特徴はありますか?

<土生シニアマネージャ>
 eMAXIS購入層の世代については30~50代の資産形成層が中心で性別は投信口座の傾向と同様に男性の方が少し多いと販売会社の方から聞いています。eMAXISはネット中心での販売になりますので、お客さまが主体的に選んでいただいた結果、残高が継続的に増加し、1000億円を超えたことに資産形成層を中心としたお客さまのニーズを感じます。また、近年寿命が延びてきており、退職後の資産運用も大切になっています。60代以降の方々にも資産を運用する際には、対象金融商品のひとつとして考えていただければうれしいです。

購入している方の投資スタンスはどうでしょうか?

<土生シニアマネージャ>
 相場を見ながら購入・売却を決める方も多くいらっしゃいますが、一方で同じ金額を毎月投資される積立投資家の方々も多いです。投資の方法に正解はありませんが、大切な資金を運用する際には資産分散に加えて、時間分散も考えて資産形成いただけると投資におけるリスクはより小さくなると思います。資産形成は長期にわたりますので、短期的な結果に一喜一憂せず、お客さまが資産運用にかける時間を減らし、夜安眠していただくのが一番ですので(笑)

当初はネット証券中心に取扱いされていたようですが、取扱販売会社はどうなっていますか?

<土生シニアマネージャ>
 現在はネット証券だけでなく、グループの銀行・信託・証券、地銀、ゆうちょ銀行など、販売会社が広がっており、現在32社になっています。お取扱い頂いた販売会社の中には、先程申し上げた弊社が取り組む“投資をこれから始める方々への情報提供やイベント”に共感頂きeMAXISをお取扱い頂くことになった販売会社もあります。我々のさまざまな取り組みにご賛同いただけることで、eMAXISの輪が広がっていけばうれしく思います。

マーケティング部門の活動内容(「ブロガーミーティング」などの意見交換会、「ポートフォリオの達人」の企画など)についてお聞かせください。

<土生シニアマネージャ>
 ファンドを立ち上げた当初から、“投資家のみなさまのご意見をファンド運営に反映させていきたい”というコンセプトのもと、意見交換会を開催しています。主にファンドアナリストやメディア、FP等有識者の方々に新商品やファンド運営についてのご意見を頂くのと同時に、投資家、受益者さまの代表である投信ブロガーの方々にも意見を頂戴しています。
 有識者による意見交換会は過去3回、ブロガーミーティングは過去6回開催しております。ファンド運営に対して建設的な意見を頂ける貴重な場となっています。
 最近は、会場にいらっしゃるブロガーの方以外でも、オンライン中継で、エントリーすればどなたでもブロガーミーティングに映像、チャットを通じてご参加いただける取り組みをしています。多くの人の目にとまることで、eMAXISに触れて頂く機会が多くなればと思っています。
 今後も、多くの方の意見を反映して、ファンドを運営していく試みを続けていきたいと思っています。

この意見交換会の内容をファンド運営に反映させていますか?

 意見交換会で出た内容は社内で検討し、反映させるよう努めています。
 現在、金融庁がNISAによって投資家の裾野を広げようとしていますが、我々としても投資を“食わず嫌い”で終わらせてしまうのではなく、投資を知っていただきその上で、投資を始めるのか、始めないのかを含む投資判断をして頂きたいと考えています。ブロガーミーティングの中で、あるブロガーさんから「投資をしていない人が投資をしないのは、将来いくら得するか損するか目安わからないからだ。将来の損得をある程度見えるようにしてあげれば、損する場合も得する場合もイメージを持てるので、不透明感がなくなるのではないか。」という趣旨のご意見を頂きました。つまりは、“リスク”の考え方をより多くの方に知ってもらうことが、資産運用を知っていただくことにつながるのではないかというご指摘だったと解釈しています。社内に持ち帰り考えた結果、みんなで競争しながらリスクについて考え、仮想投資もできるポートフォリオコンテスト「eMAXISポートフォリオの達人」を企画しました。
 これは、リターンのみを競うコンテストではなく、eMAXISで複数の資産を組み合わせて、実際の期間で仮想投資していただき”リターンをリスクで割る”指標を用いて、参加者全員で競争します。無料で登録でき、成績上位者には賞金がでますので是非参加してください。この記事を読んでいただいているみなさまの中でポートフォリオ?、リスク?という方に投資の感覚を身についていただくためにお勧めのサイトです。過去2回は投資未経験者の方々にも多くご参加いただいており、第3回を10月1日から開催する予定です。より多くのみなさまの参加をお待ちしております。

先ほどの『ポートフォリオコンテスト』などの企画で苦労した点はありましたか?

<土生シニアマネージャ>
 コンテストでは、リスクの概念を初めての方に説明するのに一番苦心しました。
 リスクの説明を婚活を使ってできるだけわかりやすく説明したつもりです。会社の新人や家族にも見てもらうと、わかりづらい箇所が出てきたためその都度書き直しました。その甲斐があって、9割近くの方に「リスクの内容について理解できた」と言って頂く事ができました。ただ、もっとわかりやすく説明できるように、皆さまにもお知恵を拝借してよりよいものに改善していけたらと思っています。

ネット世代や携帯世代への今後の取り組みはいかがですか?

<土生シニアマネージャ>
 携帯のゲームを電車の中で操作している方を多く見かけますが、eMAXISはそういった身近な存在になりたいと思っています。最近はPCに替わってiPadやスマートフォンなどがネットツールの主流になってきています。 そこでeMAXISでは、PCに加えスマホアプリなども作成し、また、携帯でポートフォリオコンテストに参加できるなどより身近な存在になっていけるように取り組んでいます。

インデックスファンドは差別化が難しいような気がします・・・

<土生シニアマネージャ>
 確かに、商品性だけを見ると差別化できる部分は限られていると思います。eMAXISはお客様の身近なところにいて、初めて投資される方にも、一番初めに投資するならeMAXISだと言ってもらえる、そういった存在でありたいと思っています。そう言っていただけるためには、更なる取り組みが必要だと考えています。

<水野戦略営業室長>
 何らかの継続的な情報発信やアフターフォローを当社から発信し、お客様にも我々の発信する情報を役立てて頂きたいというのが、eMAXISの強みだと考えています。

その他心がけていることはありますか?

<四方チーフマネージャ>
 できる限りマスコミに取り上げてもらいそれによって浸透させるというスタンスでやってきました。記事になるのは大きいと思います。第三者の声になりますからね。

今後の取り組みについてお伺いします。
信託報酬は低水準ですが、今後さらに引き下げて業界最安を目指すことはありますか?

<土生シニアマネージャ>
 残高が多くなっていけば、信託報酬を引き下げることも検討していきたいと考えています。 お客様と我々運用会社がウィンウィンの関係になっていければいいと思います。

eMAXISのラインアップについてどう考えていますか?

<土生シニアマネージャ>
 お客様の声やニーズを重視したいと考えています。当社コールセンターへのご意見や投信ブロガーのみなさまからもこういったファンドが欲しいという意見は頂戴します。全てお応えできないのが担当者としてつらいところなのですが、ご意見と需要を考えながらラインアップを検討しております。

今後の展開として何か考えていることがあればお聞かせください。

<土生シニアマネージャ>
 NISAが始まってから、売れ筋にも変化が見られます。その中で、投資をしたことがない方とか投資をしたいけれどやり方がわからないというお客様に、どのような商品・サービスをご提供できるかについて考えています。

ありがとうございました。それでは次に、日本の投資環境についていくつかお伺します。
今、円安や株高などのアベノミクスの政策の影響についてどう思われますか?

<水野戦略営業室長>
 投信の売れ行きは日本株の動きに連動しますので、アベノミクスによる日本株高というのは、投信マーケット全体には非常にフォローの風になりました。市場回復への信頼により、能動的に投資信託を買うお客様が増えてきた印象はありますね。
 第3の矢が問われている中で、長期の資産形成の普及を狙ったNISA制度の導入など、政策的な後押しによる副次的な効果も確かに出ているかもしれませんが、個人金融資産の貯蓄から投資への大きな潮流の変化には、まだ時間が必要な印象はありますね。

投資信託で資産形成をするメリットは何ですか?

<水野戦略営業室長>
 色々なメリットはありますが、若干eMAXISに関連した観点で挙げさせて頂くと、少額で多様な市場に対して分散投資ができるという点や、各商品に関係する情報提供等によるアフターフォローが充実しているというメリットなどがあります。単純なマーケット情報や個別銘柄情報だけでなく、商品性にまつわる情報とか、お客様の資産形成における商品の位置付け・考え方も含めての参考情報の提供などです。

同じ投資信託を保有する方々のコミュニティー形成というような観点ではいかがですか?

<水野戦略営業室長>
 例えば、直販に注力されているブディック型の投信会社さんらの場合、株式など商品が限られてきますので、株式を通して日本の経済成長とか起業家精神を学ぼうとか、株式なら株式市場にフォーカスした世界のコミュニティーだと思うのですが、私どもの場合は、多くの販売会社がいらっしゃいますので、各販売会社とそのお客様のコミュニティーを支援することや、また多様な商品ラインアップを提供させて頂いていますので、もう少し広い観点で活動していかなければならないということはありますよね。

投資信託の問題点を挙げるとすれば何ですか?特に、投資信託がアメリカに比べて一般的にポピュラーではない要因は何なのでしょうか?

<水野戦略営業室長>
 まず投資家の厚みが違うと思います。“日本では1500兆といわれる個人資産がある”とは一般に言われていますが、アメリカは桁違いにありますし。よく言われるように9割以上の資産が1部の富裕層が持っている構造に対して、日本の場合は、マスリテールが主体のマーケットですので、求められる商品やアドバイスが根本的に違うと思います。
 最終的にはお金を持っているのが高齢者なので、どうしても年金代替としての分配金付きのものが主流になっています。税制の問題もあると思いますが、やはり投資家側の根本的な構造問題かなと思います。 なので、工夫の余地はまだあるにしろ、今の形は日本特有の構造を反映した分配を志向するマーケットになっていると思います。

今後10年で、投資信託は変わると思いますか?

<水野戦略営業室長>
 変わると思います。分配金に対するニーズは、消えはしないと思います。しかし、金融リテラシーが徐々に上がってくることによって、マーケットも右肩上がりになっていれば、分配が無いほうがいい、自分で適度に解約していけばいい、という方向に向かうとことも想定できます。
 そういう構造に変わってほしいなと思いますし、今の環境下が続くのであれば変わる余地はあると思いますね。

最近、投資信託のファンドの数は増えてきていますが、今後10年間くらいのスパンでみると、純資産は伸びてもファンドの数は減っていくという流れはありえるでしょうか?

<水野戦略営業室長>
 そういう流れはあるかもしれませんね。新商品頼みの営業から残高重視のまさに資産管理型営業への着実な転換がが前提となるかと思いますが。最近ですとラップ・SMAの領域が急成長していますが、「いい商品を長く持って頂くためにできるだけのアドバイスをしていきましょう」という流れがようやく根付きつつあります。そうした領域に、より長く受け入れられるような商品提供とサポートをやっていきたいと思います。

最後に、“いいファンド”とは何ですか?また、第三者投信評価機関に期待することなどお聞かせください。

<土生シニアマネージャ>
 これはお客様次第です。リスク許容度もありますし、人生に対する考え方もありますので。 それに応じてお客様が決めるものと思っています。

<四方チーフマネージャ>
 カテゴリーによって違いますが、個人向けの投資信託の場合は、商品だけでなく情報提供などのサービスもありますので、投信会社の評価もあっていいのではないかと思います。初心者でも分かりやすく、資産形成に役立てる取り組みをどれだけ真摯に愚直にしているかということもご評価頂きたいと思っています。

<インタビュアー、記事執筆、写真撮影>
  高橋、川嶋