投資信託 - いいファンドのセレクトサイト | ランキング情報も充実 | 投資信託評価機関でありアセットマネジメントビジネスに専門性を持つ金融ITベンチャーが分析 | 6つの視点で投信評価

注目の投資信託

セゾン投信株式会社「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」

  セゾン投信 中野 晴啓 氏に、インタビューを行いました。

取材日時  平成25年5月16日
場所        セゾン投信株式会社本社

中野様のこれまでの活動、取り組み、キャリア等を幅広くお聞かせください。

  まず、私は1987年に社会に出て、セゾングループの当時のいわゆる金融子会社に入社しました。そこは運用専門会社でしたので、そこで積んだキャリアを生かして、セゾングループの中で投資顧問会社を立ち上げて投資顧問の仕事をしていました。この時代にNYのベアスターンズアセットマネジメントという運用会社と共同で公募の外国籍投資信託をつくり日本に持ち込んで販売することにしたのです。長期で資産形成を狙うタイプの運用方針でコストも低く抑えるつもりでしたが、販売会社の取り分を多くしない限り、どこも売ってくれなかったのです。ですから不満だらけでありつつも、販売手数料3%、管理費も高い普通のファンドにせざるを得ませんでした。運用が始まり最初は売れ行きも好調だったのですが半年で解約が続々と出るようになってしまいました。販売会社が手数料を稼ぐための、別の新しい投信への乗り換えです。よくあるパターンです。このファンドは年1回配当でして、外債のポートフォリオでしたから、長期投資と言いながらもクーポン分だけ配当することにしていたのです。それで、配当の時期になると支店の営業マンからセミナーをやって欲しいと言われまして、あちこち回って説明をしました。すると営業マンはお客様に「今このファンドを買うとすぐにお金が入りますよ。それですぐに別のファンドに乗り換えてもらって構いません。」と言っているではないですか。配当取りですよ。こんなことの手助けをするために・・・やる意味がないですよね。配当取りというのは、配当を取った瞬間にその分だけ値段が下がるのですから詐欺同然ですよ。こんなひどい売り方をして、お客様には儲かったと思わせて、それで3%の販売手数料を取る訳ですから。これが私の最初の失敗体験ですね。
  その頃にさわかみ投信の澤上さんと知り合い、「お前、馬鹿なことやっていることがわかっただろ。本気で長期投資を世の中のためにやろうと思ったら既存の業界の中では無理だ。自分で作れ。」と言われたことがきっかけでセゾン投信を立ち上げることになりました。
  その後、この投資顧問会社を委託会社に変えようと、ライセンス申請をして仮認可まで取りました。金融庁の認可を正式に取るためには親会社のクレディセゾンに増資してもらわなければなりません。私は会ったこともない当時の林野社長に手紙を書き、直販投信の必要性、既存金融業界にはできない新たな価値の提供であることなどを、一生懸命伝えました。すると林野社長自ら電話をくださり、この事業を応援すると言ってくれたのです。よく知らない一社員の手紙をちゃんと読んで直接電話をくださる。それだけでも感動でした。その後、直販投信会社を始めるに当たり、個人向け金融に熟知した責任者が必要という親会社の意向で新しい社長が米系大手銀行から招かれました。ところが、新社長に直販スタイルのビジネスは大反対され、認可申請を取り下げられてしまったのです。当時の社長は、既存の金融業界でずっと働いてきた人ですから、自分は1年で成果を出すためにきている、直販・ノーロード・長期投資なんていう全く儲からない夢に付き合っている暇はないと言われましたね。それで大喧嘩をして、当然弱い者は飛ばされるということで、親会社であるクレディセゾンに異動してクレジットカードの仕事をすることになったのです。いわゆる左遷です。運用の仕事しかしたことの無い自分にとっては本当に悔しく辛い日々でした。この頃、「もう会社を辞める」と弱音を吐いたこともありましたが、澤上さんから「セゾンに残っていればいつか必ずチャンスがくる」と言われクレディセゾンに異動してからも直販投信のプランを当時の上司と林野社長に出し続けていました。

  そして再び私の考えたプランは認められ、新設されたインベストメント事業部の部長に抜擢されました。
  そこから、あらためてセゾングループの資本を使ってセゾン投信を立ち上げようと準備を始めました。また金融庁に通い始めて3回目くらいまでは担当官が優しく、いいところまで行きました。ところが4回目に過去の経緯がバレてしまい、「セゾンさん前科者ですね。仮認可まで出して取り下げた会社なんて前代未聞ですよ。」と言われてしまいました。それでも何度も足をはこび、2006年にやっと認可が下りたのです。
  そして2007年にセゾン投信を立ち上げ今に至っています。今は社長の仕事が最優先ですから私はCIOとして運用状況を掌握していますが、日々の運用実務には携わっていません。毎週の運用会議、毎月の投資戦略会議等で全体的な運用方針について指示や意思決定をしています。また、トータルのアセットアロケーションやキャッシュコントロールの部分等、運用方針に重要なところは私から指示しますが、日々の売り買いは運用チームに全部任せています。

直販=日本株というイメージがあるのですが、その中でファンド・オブ・ファンズ、かつバンガードを組み入れている理由やそこに至るまでの経緯を教えてください。

  私が日本株のマネージャーだったら日本株を運用していたと思いますが、実は日本株はほとんど運用したことが無いのです。日本株をやれる人間でもないし、やるつもりもない。もともと国際分散投資しかやってないですし、国際分散投資が一番日本の生活者の資産形成にふさわしいと思っていますから、国際分散投資のポートフォリオを作るためにはファンド・オブ・ファンズ以外にないと思っています。結果的には独立系直販会社の中で差別化を図ることができました。
  なぜバンガードかと言うと、クレディセゾンに居た頃、次の投信モデルを色々考えて、温めていたのがバンガードとの提携でした顧客第一を目指し、販売手数料や信託報酬をできるだけ低く抑えるバンガードがセゾン投信の目指す姿だったからです。バンガードは世界最大級の投信会社にもかかわらず、既存の投信業界のやり方に合わないバンガードのファンドを扱う販売会社は、日本ではほとんどありませんでした。 
  セゾン投信を始めようと思っていた頃、バンガードの日本代表が今の加藤社長になったばかりの転換の時期で、「今バンガードに自分達がやりたいと思っていることを話したら理解してくれるかもしれない」と思ったのです。たまたま、私の親しくしている人が加藤社長をよく知っていたので引き合わせをしてもらいました。当社はまだ存在していませんでしたが、加藤社長はバンガードの米国本社を懸命に説得して、パートナーとして認めさせてくれたのです。
  しかし、クレディセゾンの取締役会は簡単に承認してはくれません。高い手数料を投資家から取り、売れ筋の投信を次々に並べて行く既存のビジネスとは全く違う直販モデルですから、無理はありません。ここで大きな力になってくれたのは澤上さんでした。反対派の取締役達を次々に必死で説得してくれたのです。
  熱心に協力して頂いた方々のおかげもあって、今のスタイルができあがったのです。私はただのサラリーマンでしたから、私1人の力ではできていなかったでしょうね。本当に感謝しています。

さわかみ投信の澤上さんとはどのようなご縁だったのでしょうか?

  投資顧問会社でベアスターンズと一緒に作ったファンドが解約の嵐にあい、がっかりしていた時に、会ってもらえるようお願いをしたのですけど、3回断られましたね。「セゾンなんて大企業の人間に俺は用が無い。」って。それでも連絡して「あんまりしつこいから会ってやる。」と言われ、やっと会うことができたのです。そこで、自分の失敗した体験や、自分は長期投資が本来の資産運用だと思っていること、これを生活者のお金と結び付けたいのだということを話して、共感してもらいました。私は彼のビジネスモデルを知りたかったし、究めたかったからそれから何度も通いました。あの当時から澤上さんは有名な方ですから、みんな会いたがりますが、一度会うとそれっきり二度と来ない。それで澤上さんは嫌になり私のアポも断っていたのだそうです。私が何度も通っているうちに「お前みたいに何度も来た奴はいない。お前のことは信用してやる。会社の作り方でも何でも全部教えてやるし、やれることはどんなことでも協力してやるから本気出してやれよ。」と言われたところからですね。
  日本の長期投資はまだ根付いてはいませんが、これから先、独立系の会社が主役になっていくとすれば、間違いなく澤上さんは大元ですよね。他の直販の方も澤上さんがいなかったら多分やっていないと思います。

直販投信の意義や、販売会社に販売を頼まないことなどについて教えてください。

  直販投信の意義は多分他の直販会社と一致していると思います。価値観を共有して集まる、繋がる、それから自分達の長期投信の意義を直接伝える。これがないと共感できませんし、一番の意義です。結果として、販売手数料0円や低い信託報酬等のコスト的な節約もできる。この2つの軸があると思います。
  では、直販原理主義なのかというと、セゾン投信もそういう訳ではないです。今、私が申し上げたような考えを理解して体現してくれれば誰が売っても良いと思っています。ただ、販売手数料を取ることは反対です。もし取るのであれば、100万円でも1,000万円でも固定で売って欲しいのです。情報がタダなんて思ってはいませんから、自分がアドバイスしたものに見合った手数料を取るというのはいいと思っています。ただ、アドバイスやかかる手間は同じなのに100万だと3万円、1,000万円だと30万円も手数料を取るという今の仕組みは許せないのです。
  あと、考えられるのはネット証券です。そこもネットはネットなりに価値観の共有ができて、本当に長期投資をやる人達のお金を頑張って作りましょうと言ってくれるような会社なら一緒にやりたいですね。今のところはありませんが、将来的にはあるかもしれません。

草食投資隊や東証+YOUなどその他の活動について教えてください。

  草食投資隊というのは、私にとってもひふみ投信の藤野さん、コモンズ投信の渋澤さんにとっても大事な存在になっていると思います。もともと知りあいだったのですが、日経マネーの長期投資についての企画で3人が鼎談することになり、話をしたら当然盛り上がったのですよ。それなのに日経マネーの記事はたった2ページ。こんなに盛り上がったのだから本にしようよって日経さんに無理矢理頼んで発行してもらったのです。できあがった本のタイトルは「運用のプロが教える草食系投資」です。当時、草食系男子が流行していて、投資というと肉食なイメージが強いので草食にしましょうということで、結果的には出版社がこのネーミングを決めたのです。
  この本をきっかけにそれぞれ独立系運用会社の人間でライバルと言えばライバルですが、個人の預貯金をちゃんと投資信託に振り向かせるため、3人で一緒に活動しよう、ツンドラを溶かしに行こうということになったのです。ですから、3人で力を合わせて溶かし、新しいマーケットを作ろうという意識で、3社とも皆繁栄していくように頑張っています。あまりにも活動を頻繁にしすぎて本当の兄弟のようになってしまいました。それぞれ違う個性があって、それでも上手くいっている最大の理由はお互いが尊敬し合っているからだと思います。認め合っているからこそ頼り合える。負けられないという気持ちもあります。いろいろな悩みもこの中では共有できることがありますから、3人にとっても貴重な時間です。この活動はずっと続けて行きたいと思っています。
  東証+YOUは私だけでなく草食投資隊や、澤上さんを含めての活動になりますが、これは受動的に発生したものです。草食投資隊の活動を続けてきて、それを聞きつけた東証の人が「今度予定している活動は本当の長期投資マネーを育てる活動です。だからみなさんにやって欲しい。いつも通り普通にやってください。」とお願いしに来てくれたのです。この活動には東証の人もすごく手ごたえを感じて頂いて、「何の株がいくら上がるんだ」という発想を持たない人達が集まるということがわかったようです。参加者達に「投資について考えが変わりましたか?」とアンケートを取ると「変わりました。投資は“社会貢献”です。」とか「投資は“愛”。」とか書いてあり、東証の人にとって新たな発見だったようです。これはまた続けましょうということで今年も、6月から全国各地回ります。我々からすると今まで業界では賊軍みたいな立場でしたが、東証さんが官軍にしてくれたという感じです。お互い本当に喜びましたね。
  この他には女性限定の青山キャリア塾というイベントを開催しています。投資に縁の無い初心者、やったことの無いような方に広げていきたいと考えているので、女性の興味のあるような題材とコラボしてやっています。この活動はセゾン投信だけでなくFPウーマンの高山さんと一緒に続けてきまして3年経ちます。いつも私は唯一の男子ですからオアシスですね(笑)。ずっと続けてきたおかげで、良いコミュニティができ、参加者の皆さんは自分の経済的自立を真剣に考えるようになるのです。そして自然と積立を始める。投信の本質を本能的に理解して、投資っていいよねって思った女性は次の友達を連れてくる。そこに来る人は全く違う世界から集まっていますが、その共通項は社会的に自立している人、プライドを持って仕事している人ですね。常連さんと新しい方が毎回半分くらい。かなり地道な活動ですが少しずつ広がっています。

ネットの電子交付を早い段階でされていましたが、日本版ISAの導入等の新しいことへの取り組みが速く、洗練されたサイトやセンスのあるキャッチコピー等ができる理由は何かありますか?

  まず、セゾン投信は独立系直販の3番目だったのですが、その当時からこれからの時代ネットの取引は必要だと思っていました。ですから一定のコストをかけてもその仕組みは整備したい、高いからできないではやっていられないと。サイトに関しては専門知識を持った社員が数名で作りました。あまりお金をかけずにそこそこの物が作れたということですね。
  「いそがないで歩こう」というキャッチコピーはベテランのコピーライターさんが、この会社を気にいってくれて、タダ同然でコピーと絵を作ってくれたのです。このコピーは我々のイメージとぴったりなのです。すごく気に入っています。
  日本版ISAは導入コストが相当高いということで悩んでいたのですが、ネゴシエーションを重ね、自分が想定していたものより安くできるというところまで来たので取り組むことにしました。発信力では大手に対抗できませんので強い自己主張が必要だと思っています。今の日本版ISAは5年、ロールオーバーしても全部で10年。100万円ずつの最大500万円です。でも、本当に長期投資を考えているのだったら、未来永劫続けるイメージですよね。ですから、そのとっかかりとして日本版ISAを活用したら良いという形で発信するつもりです。多分、大手金融機関は既存のお客様をこの制度で繋ぎとめて流出を防ごうと考えていると思いますが、我々は今まで全く投資に興味を持たなかったけれど、新しい税制を利用してできる範囲でやってみようと考える新しい投資家を創造するきっかけにしたいと思っています。

今後のマーケティング戦略はどのように考えていらっしゃいますか?

  継続を強化するための取り組みのひとつに横の繋がりがあります。直販の良い所は仲間意識を持って投資家同士が共有できる、繋がれることですね。セミナーや草食投資隊のイベントはこれに当たると思います。
  もうひとつ、どうしても知名度が劣るということがありますので知名度を少しでも上げるために、顔をさらしてキャラクターを打ち出すといのも大事なブランディング戦略だと思っています。資産運用業界は顔をさらしてはいけないというような風潮があります。ですが、このファンドの運用者はこういう人達だと分かることは自分がお金を託す上で一番大事なことだと思います。
  ネットやSNSの利用は立派な飛び道具で、21世紀の大事な口コミルートですから使わなければいけないという思いはあります。でもあれは好きな人にはかないませんね・・・。ただ、コマーシャル等をやっていない以上はやはり口コミが大事です。元々バンガードが30数年前に急成長した理由の一つに“口コミ”という要素があったことも事実です。
  あとは、大学に行って講義をしています。すぐには投資家にならないとは思いますけど、学生時代の多感な時にそういう話を聞いたってことはきっと財産になってくれると思いますね。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドについて特徴的な理念や傾向等があれば教えてください。

  アセットアロケーションの基本的な考え方は各地域の市場時価総額で常にリバランスをするということです。リバランスは毎月適宜行っています。これが一番大きな特徴です。結果として出ているヒストリカルリスクは想定よりも小さいのです。少なくとも今までほとんど資産を売却したことはなく、追加購入することでリバランスができている状況です。個人でもできるのではないかと思う人がいるかもしれませんが、時間と手間と物理的に個人がここまできめ細やかにやるというのは難しいと思います。その度にコストもかかりますし、外貨ですから為替手数料もかかる、できるという人は、やってくださっていいのですが、ただ、大半の人は、興味もないし、面倒臭いし、難しい。自分の仕事が大事な人にとってアセットアロケーションについて考える時間というのは、日本経済・世界経済にとっての損失です。そこを我々が代わりに埋める。このファンドのフィーは、管理料と言いますかメンテナンスフィーですね。きめ細やかに定量的に相当綿密に、誠実な管理をしている自信がありますので、そこでいくばくかを頂くことに関しては正当だと思っています。
  ターゲットにしている顧客マーケットは、資産運用の中身にはあまり関心が無く、むしろ投資もしたことがない、でも将来に不安があって、なんとか経済的自立にむけて投資はしないといけないという意識がある人達ですね。そういう人が気持ちよく安心して一歩を踏み出せるカウンターパーティーであると思います。
  ですから他の投信会社と比べると、投資初心者の方が圧倒的に多くいます。誰かに薦められることはあると思いますが、結果的に自分でたどり着くという意味ではお客様のクオリティが高いのだと思います。

他の直販だと他のファンドも合わせて買わないといけないように思いますが、セゾンだとセゾン1本だけで良いのでしょうか。一緒に持つと良いファンドはありますか?またライバルファンドはありますか?

  実はそれがこの会社の肝で、私が生活者に提供したかったのはアセットアロケーションなのですよ。ですから日本株の良いものを作っても、日本株ファンドひとつのポートフォリオでは集中投資になってしまいますから心配になりますよね。それを資産配分も含めてひとつのパッケージでお渡ししたら、要は何もしなくていい、勉強もしなくていい、管理もしなくていい、ただ自分達が目標としていることを共有してもらい、信頼関係だけを頂ければそれが継続の絆になります。
  我々が提供しているのは個人のポートフォリオのコアになる部分だと認識しています。あとは、自分自身は日本株が好きなので他の直販投信の日本株をサテライトとしてずっと積み立てています。
  長期投資という意味では皆ライバルですね。ライバルではありますが皆に成長し成功して欲しいと思っています。 実は、個人的に意識しているファンドがありまして、それはセゾン投信がファンドを設定した直後に、セゾンバンガードと資産形成の達人ファンドに非常に良く似たコンセプトのファンドが2本設定されたのです。これは大手証券会社で販売されていて、我々がやっと何十億になったという時にそのファンドは何百億も集めていたのですよ。こんなにも違うものかと肩を落としましたね。ところが、それから何年か経ってみたら逆転です。セゾンバンガード型のファンドはあっという間に償還、達人ファンド型のファンドはまだ残っていますがひどい運用成績ですよ。典型的な既存業界の姿ですね。

このファンドのデメリットを敢えてあげるとしたら

  デメリットはやはり強烈な上げ相場には遅れますね。バランスですから。絶対リターンの面から言えば魅力が薄い、長期的に安定したブレを小さくした運用ということです。あとはインデックスですので、アクティブにはかなわないマイナスの魅力というのが歴然とあると思います。また、どうしても自分が投資したくない会社が投資先に入っている可能性があるということですね。長期的には淘汰されていきますが、淘汰されるまでは自分のお金が投資したくない会社に行っていることですね。その辺は割り切って頂くしかありません。経済活動全体を支えるお金だということは確かなので。そういう意味で合理的すぎて面白みはないでしょうね。銘柄が多すぎて個別の銘柄を見る気にもならないですから。

中野様にとっていいファンドとは?また、第三者評価機関に期待することは?

  いいファンドの要素はシンプルに言えば実態経済に直接支えになるような運用をするということ。経済の足をひっぱってリターンを上げるような運用はだめですね。キャッシュフローやお金の極端な上下動が無い安定した資金の流入があれば理想的で、それは運用能力の多大なるサポートになる。これは多分長期的には大きな結果の差になってくると思います。
  また、運用する側の人となりや理念、哲学、能力。これは会社を見る時に経営者の資質を見るのが一番大事というのと同じで、お金に対する考え方に直結してきますので重要なことだと思いますね。
  私にとってお金とは自分の人生を表現するための大事な道具ですし、社会と繋がる鎹みたいなものです。自分が常にお金を動かすことを意識して、世の中がほんの少しでもプラスになる方向にお金を動かすことを意識することが大事です。人様のお金を預かる、それは社会における仕事として何をすることを求められているか。リターンを求められてるというのは半分で、残りの半分はこの世の中を次の世の中に向けて良い方向に動かして初めて資産運用業者は社会的責任を果たしていると思います。それでなおかつリターンをあげる。これを忘れると下品なマネーゲームになってしまう。リターンばかりを強調するのはその意識が抜け落ちているのです。
  第三者評価機関に関していうと、他の評価機関や格付け会社も同じですが、今社会的問題になっている、いわゆる利益相反というか仕組みに無理があるだろうと思います。お金をもらったところに優遇して情報を出すとか、これを改めないといけませんよね。ここのところの是正をどうするかはパワーソリューションズさん自身で考えて頂きたいです。ファンドのランキング発表が必ずしも正当な評価ではないと感じている業界の人間は少なくないでしょう。
  定性的というか、先ほど申し上げたような理念とか哲学とかそういうところの評価をもっと増やして欲しいとは間違いなく思います。今が定量面に偏っていて、それこそシャープレシオだけで判断したりします。シャープは絶対リターンよりは良いですが、それにしてもシャープだけというと間違った情報発信に繋がりかねない。キャッシュ増やした方が勝ちますからね。そんなバカなことはない訳ですよ。ですからもう少し定性面の評価を大事にしてもらいたい。資産運用という仕事は個性なのです。個性は定量的な話ではなく考え方、物の判断の仕方、それ自体の個性をきちんと受け止めて評価してもらいたいですね。

<インタビュアー、記事執筆、写真撮影>
  高橋、川嶋