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ありがとう投信「ファンドの宝石箱」

  ありがとう投信 岡 大 氏に、インタビューを行いました。

取材日時  平成25年3月25日
場所        ありがとう投信株式会社本社

岡様の現在の活動内容やこれまでの取り組みについて教えてください。

  我が社は直販だけなので、日本中を回ってセミナーをしてきたのですが、最近ではホームページへの動画掲載を重視するようにしました。ちょっとした動画でもセミナーの10~20回分はすぐに見て頂けますし、負担の軽減になりますから。ただ、セミナーならではの雰囲気というものもあって、なまの話を聞きたくてセミナーに足を運んでくださる方もいますから、セミナーはセミナーで少しずつ続けていきます。 
  私のキャリアに関して言うと、まずは山一證券に入社してバブル期からバブルが弾ける時期をまたいで5年位は営業をやっていました。個人では、どんな相場の中でも色々工夫してお客様に儲けてもらおうと必死になっていたにもかかわらず、当時の投資信託は成績が悪くて、売り方もひどいものでしたし、私は本当に投信が大嫌いでした。その時に「お客様に何かお返ししたい」「投信の運用成績をなんとかしたい」「俺が運用をやってやる」という気持ちになり、山一證券にあったファンドマネージャーコースで運用を一年間勉強しました。
  研修が終わってもすぐには運用職に就かず「債券やデリバティブについてもう少し勉強したい」といって、そういう部署に配属してもらいました。その時期に山一が破綻してしまったのです。運用の仕事で転職したいと言っても、いい年をして運用経験の無い人を受け入れてくれる会社はありませんでした。ところが、落胆している中、変な運用会社があったのです。「経験が無くてもやる気があるなら来なさい!」という感じで言って頂いて、現在のさわかみ投信に入社しました。
  当初は投資顧問でしたが、後に投資信託をやることになった時に、澤上さんも私も販売会社への不信感があったので「販売会社は入れない」「長期投資をやる」等の基本的な意見が一致した上で、さわかみファンドの立ち上げに携わりました。その後、さわかみ投信に在籍していた時に、より大きな資金を扱う時には法的なセンスも必要になるだろうと考えてロースクールに通いました。
  その後、状況が若干変わって、ありがとう投信にお世話になることになり、現在に至ります。

ありがとう投信はどのようにしてできた会社なのですか?

  この会社はちょっと変わった会社なのですよ。全国の税理士や会計士の先生方が集まる勉強会で、自分達のお客様から運用の相談を受けていたものの、どこで何を買えば良いかという相談に対して勧められるようなものがないという悩みを抱えていたのです。ここへ澤上さんも絡むようになり、「長く安心して預けられる商品が欲しいなら自分達で作ればいい」という話になって、先生達個人が出資してありがとう投信を作ったのです。おかげで、会社の経理面を先生方に見て頂けるメリットもありますし、「ありがとう投信」というネーミングからして怪しいと思われることがあるのですが、後ろに税理士や会計士の先生がいることで信用もされますね。「ありがとう」という社名には、お世話になった社会に対してありがとうという気持ちがこもっています。
  ファンドの認可という点では、「さわかみファンド」を立ち上げた時は、役所から「少なくとも1社は販売会社をいれてください」と言われたため、完全な直販ファンドでは無いファンドにせざるを得なかったのです。しかし「ありがとうファンド」を立ち上げた時は、さわかみファンドが既に直販ビジネスを成り立たせていたお陰で直販ファンドの第1号として認可されたのです。

ありがとうファンドを設定した背景や問題意識などがあれば教えてください。

  先ほども話しましたが、安心して長く預けておけるような運用商品が無いから我々が提供しようというコンセプトで、かつ、直販という形にこだわっています。税理士の先生方は「預貯金は安心では無い」と考えておられたので、ある程度きちんとした運用をしなければいけないという思いがありました。もちろん預貯金をされている一般のお客様に対して、預貯金のリスクを説明するのは大変でした。「インフレになったらどうするの?」と言っても「インフレってどういうこと?」と言われてその説明からすることもありました。もともと運用ビジネスというのは最低限インフレヘッジさえできれば良いという大金持ちの願いから始まっているのです。ガツガツ大儲けを目指している訳では無く、安心ということが大前提なのです。
  ファンド・オブ・ファンズという形態にしているのは、投資対象資産を広く分散しても、少人数、小コストで運営できるということが大きいです。また、個別株の運用ですと売買をするにも流動性や色々な制約がつくのですが、ファンド・オブ・ファンズならば機動的にできる利点があります。

今の円安・株高というアベノミクスに伴う影響をどのように見ていますか?

  アベノミクスのおかげかどうかは分かりませんが、現在の投資環境は良いと思います。まだまだ上にいくのではないでしょうか。ただ、一斉に上がっていくという雰囲気はさすがに続かず、選別が進んでいくでしょう。ありがとうファンドに組み入れているファンドはアクティブファンドであり、選別が元から入っているのでこれからが出番になると思います。

投資信託で資産形成をすることのメリットとデメリット、現状の投資信託の問題点を教えて頂けますか?

  わかりやすいメリットで言うと、やはりプロに任せられるから自分は本業に専念できることですね。そしてデメリットというのかは別として、どれを選べば良いかわかりにくいということです。投資信託は個別株より分散投資ができるから良いと言われても、4,000本もあるファンドの中でどれを選べば良いのかわかりませんよね。だからこそ、ファンド・オブ・ファンズの存在価値があると思うのですよ。
  現状の問題点としては、あまりにも目の敵にして悪いのですが、やはり販売会社が悪いと思っています。平均の保有年数が3年を切っているなどというのは異常です。個人的には預貯金の隣で行う窓販に期待していましたが、結局ボロボロになってしまいましたね。アメリカだって、つい30年位前は個人金融資産における投資信託の割合は少なかったのです。日本と同じように安全志向だった人の気を引くようなものが隣にあったから増えていったわけで、「どうせ長く置いておく資金だから、良さそうなものを少しやってみよう。」というように垣根をどんどん越えて一般の方が購入していった。こういう形の頑張りを窓販には期待していたのですが。
  ただ、今そうは言っても、デフレからインフレになってきて、しかも金利は元気がないとなると「なんとかしないとまずいよね」とみんな思うはずです。今、既に投信を持っている人達の持ち分は、個人の金融資産の中の微々たるものです。預貯金をしている人は、まだ預貯金が安心だと思っているのです。安心できて、かつインフレにやられないものがあれば、いずれ絶対動き出すと思いますし、環境はそういう方向に向かっていると思います。
  日本人は金融リテラシーが低いというイメージがありますが、振り返ると、デフレの時に預貯金をやっていましたし、89年のバブルピーク時に個人投資家は“買い”ではなく“売り”にまわっていたのです。単に、今までは環境が必要としていなかったから動かなかっただけで、これからはだんだんと火がついて動き出すと思います。ですから、私達は「こういう安心な投信がありますよ」と言えるようなものを作りたいと考えているのです。

販売会社についてはインタビューで他の方からもあまり良い話しを聞かないのですが。

  もちろん全員がデタラメな意識な訳では無く、しっかりとした意識を持った方もいます。ただ、たとえば本社の企画部門が「もっと長期で保有してもらいなさい。」と言ったとしても、営業サイドとしては「売上を上げなさい。」と言われればそれに従うしか無いのが現状です。買ってもらうことより長く保有してもらうことが、最前線にいる人にもメリットになるような仕組みを作らないと変わるのは難しいのではないかと思います。
  銀行の窓販が始まったことで変わるチャンスはあったと思います。しかし始まったタイミングが悪かったので、期待したより売れなかった。それでも我慢すれば良かったのに、無理に売ろうとして証券会社と同じ売り方をしてしまったのですね。ですから結局は変わりませんでした。
  今のところは我が社で販売会社を使うというのは考えにくいですね。販売手数料を無くしているので、売りたいという販社もそう無いと思います。

今後10年の投信の展望と、ネット世代と言われる人々にどうアプローチしていくのかをお聞かせください。

  今後の投資信託の規模とか数については考えたことが無いのですが、個々のファンドが独立採算制でも食べていけるくらいの数まで淘汰されていくと思いますね。
  ネット世代へのアプローチと言いますか、「こんなふうにやったら、こんな簡単なことしかしていなくてもお金が増えた」という成功モデルのようなものあればすそ野が広がっていくと思うのです。海外には何十年も運用しているようなファンドがありますが、それらと同じ様に、例えば「10年以上保有している人は必ず利益が出ている。」というような例が日本にも必要だと思います。日本でも長期のファンドはありますが、実績という意味ではまだまだこれからです。歴史はより長い方は説得力がありますよね。もちろん、過去の成績は未来の成績を保証するものではありませんが、過去の成績がなければ未来のことを言っても信じられませんから、そういう意味でも実績を作る必要があると思っています。
  それから世代を意識して、と言うことではありませんが、ホームページの動画配信は今や普通になってきているので使いたいですね。ただ、Facebookやtwitter等のSNSについては、個人的に使うことはあっても会社としては今のところほとんど使っていません。

ありがとうファンドのコンセプト、特徴的な部分等についてお聞かせください。

  あまり他社との差別化は意識しておらず、長く安心して預けておける運用商品を提供したいということを意識しているので、長期投資かつ分散投資を行っています。また、投資に慣れていない層にとっては下げがショックですから、下げに強い運用をしたいと考えています。投資先ファンドには、運用方針が明確で資産が安定しているファンドを選定しています。実績のあるファンドであれば、哲学に基づいた実績があること。選定は縁があって目についた良い物を集めて、その中から探していくというような手法を取っています。
  このファンドの特徴としては、信託報酬逓減の仕組みを取っていることです。ファンドの資産が増えれば増えるほど信託報酬が下がります。信託報酬が下がれば運用のパフォーマンスは上がるので、投資家は皆等しくリターンを得ることができます。
  投資家は30代から50代が多く、子供のための積立を目的とした方の比率が多くなっています。定期定額で積み立てるサービスでは、今は相場が良いので全員が利益を得られているような状況です。

ライバルファンドはありますか?ありがとう投信さんが考える良いファンドとは?
また、評価機関に期待することはありますか?

  ライバルファンドは特にありません。良いファンドがあれば、ありがとうファンドに組み入れれば良いのですから。
  私達が考える良いファンドとは、売買を繰り返さなければいけないファンドでは無く、長く持っていられる安心できるファンドです。
  評価機関に対しては、日本における全てのファンド4000本を定量的に評価するだけではなく、株式のアナリストレポートのように、一つのファンドに着目して詳細に分析するようなこともして欲しいですね。

<インタビュアー、記事執筆、写真撮影>
  高橋、桜町