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鎌倉投信「結い2101」-Part2

  鎌倉投信 取締役 資産運用部長 新井和宏氏に、SPOCK(大学生が編纂する金融フリーペーパー)vol.14の編集者と合同インタビューを行いました。

取材日時  平成25年2月19日
場所        雪の降る古都鎌倉の鎌倉投信本社屋

一部では鎌倉教といわれているそうですが、これについてはどのような考えをお持ちですか。

  先日ファンドオブザイヤーの表彰式に呼ばれてコメントした時に「宗教ですか?」と聞かれて「宗教です(笑)」といいました。酔った勢いでの冗談ですが、なぜそういったかというと、そこに哲学があるからです。宗教は「こう生きた方がいいのではないですか」と考え方を提示しますよね。私たちも「こういう投資がいいのではないですか」と考え方を提示しています。ですから、その考え方に共感をしてやっていくことはとても宗教に近いものですよね。また投資信託のようにプロに頼む運用というのは、その人を信じなければいけないのですよ。命の次に大切なお金を信じて託す訳ですよ。信じるってことは宗教心のようなものですよね?でも宗教と何が違うかと言えばそこに技術やプロとしての何かがあるかです。プロとしての技術というものがある限りは宗教にはなりませんよ。宗教とは違いますけど私は宗教っぽくていいのではないかな、と考えますね。実際、会社の経営も同じで考え方、価値観に共感して社員になる訳です。これもある種の宗教ですね。そういった意味で考え方、理念を持ってやるということに関しては共通要素がありますよね。

「結い2101」を設定した背景や理由について何かありますか。

  SRIというもの自体は、企業のCSRもそうですが、形式的、網羅的なのですよ。企業の社会性というものは、そうではなく実績的なものでなければいけないと思います。人と同じで企業もそれぞれに色があり、百社百様にならなければいけないのです。しかし、一律の基準ですべての企業を評価しようとすると似てきてしまいます。その典型がCSRです。企業のCSR報告書を見るとほとんど似たようなフォーマットでほとんど似たような活動をしているというのが大企業に見受けられます。一律の基準で測ろうとしている人がいるから得意なことをする企業が増えない、従って社会は良くならないのです。ですから得意なことをする会社をどんどん増やしていきたいと強く思っています。そこがまず私のファンドに対する根底的な想いです。  もう一つは技術的な話になりますが、投資理論で説明できない唯一のものがあります。それは何か?日本株です。投資理論上株価が何十年も上がらないというのは説明できないのです。長年研究をしてきて、そのうち説明できない期間が20~30年近く存在するのです。そうした時に我々は日本株をどう見るか。それは「日本が社会問題を解決しなければいけない最先端の国になってしまった」ということなのですよ。社会問題だらけですから、ひどいマイナス成長に見えてしまうのです。そこで、我々は社会問題を解決しない限り日本株の長期的成長は考えられないという仮設を立てました。私は理系なのでロジカルに仮説を検証しているだけです。つまり社会問題を解決する企業に特化して投資をするという選択を取ればうまくいく、日本株インデックスに投資をしたからといって社会問題を解決しなければうまくいかないという仮説を作ったのです。そうしないと日本株の成長を説明できません。それで今の運用コンセプトにしたのです。
  その中で運用の哲学というのは先ほども話した「まごころ」を中心にしています。訪問先の社長さんと対峙する時に、最初の20分位は我々の会社の理念を話すのです。そうすると、だんだんイライラしてくる人、興味深く聞いてくれる人の2つのタイプに分かれます。もちろん後者の社長さんとしか付き合いません。敢えてイライラさせるようなことをして、反応を見るというのが非常に効果的ですね。それから、覆面で突然訪ねて、アポなしのお客様に対する対応を見たり、従業員用のトイレが綺麗かどうかのチェックをしたりもします。こういう所でもその企業の「まごころ」が伝わってきますね。

「まごころ」を数字で見たいとき、どのデータを見ればよいですか。

  数字では難しいですね。鎌倉投信のホームページを見て頂けるとわかりますけど、中央に投資した企業の名前を全部開示しています。そういう運用会社は我々しかありません。「いい会社です」と言い切って、こんなに素晴らしい会社ですと表示をしていますが、そうすることによって、本当にいい会社ですか?ってことを投資家に問いかけているのです。いい会社の社内や応対が荒れだした瞬間、受益者のお客様からクレームがたくさん来る。来たクレームに対して私が打ち返していく。つまり、お客様がモニターしてくださり、いい会社を社会が決めるのです。ベンチャーでは目が行き届かない部分があります。ソーシャルネットワークをうまく活用して、お客様や外部の人が見ることにより自然に淘汰され、いい会社だけが残っていく。実は「いいね」ボタンがどれだけ押されているかということも我々は見ています。こういうやり方が存在しても良いと思うのです。社会に認めてもらう、いい会社に投資をする、どんどん淘汰されていきすごくピュアなものになっていくような仕組み作り、また逆にこの会社はいい会社であると知って知識を深めて頂くという枠組みが一番「まごころ」を感じて頂けるのではないだろうかと思います。

目標とするリスクとリターンの水準を教えてください。

  期待リターンは4%とお客様に伝えています。また、リスクに対しても運用前から10%以内と伝えています。4%は低いといわれることもありますが、我々は過度にお客様に期待させないことも重要だと考えています。

ライバルファンドや、あわせて保有するのにふさわしいファンド、金融資産などがあれば教えて頂けますか。

  我々のファンドが変わり者過ぎていてライバルにならないのですよ。他の運用会社が聞いたら耳を疑うような運用しているのです。私たちはわざとTOPIXに追随しない運用を作ろうとしています。つまり、TOPIXから乖離するという運用方法をとって、TOPIXとの相関係数が下がるということを目指し続けているのです。色々な金融商品を持って頂くためには、動きが違うものを組みこまないと分散効果がない訳です。他の金融商品と相性が良くなるように、実はリスク低減ができるように変な動きをするファンドに仕上げていくつもりです。ですから、「あわせて保有するのにふさわしいファンド」なんておこがましいことをいうつもりはなく、かつ丼に添えられている“たくあん”のように、小さな存在だけれども、「あったらいいな」「ないとダメだな」という程度に認識して頂きたいと思っています。ではメインの「かつ」は何かという話ですが、グローバルな投資はやって頂きたいですね。我々はあくまでも日本を何とかしたいという思いの中でやっていますから、それ以外のグローバルな運用は別の運用会社さんの方にお任せしています。

何故トピックスとの相関係数が低くなるのかという点に大変興味を持ったのですが。

  持っている構成銘柄は東証一部の銘柄を半数までにしています。要は東証一部以外の銘柄がほぼ半数を占め、銘柄数でいうと半数以上になっています。「市場分散をする」つまりインデックスを一つにすることによってリスクが高まるということを我々はよくわかっています、だから、色々な市場に対して投資をする、色々なものを組み入れて投資をすることによってリスク自体はかなり低減するのです。市場だけでなく、業種だけでなく、一言で業種といってもインプットの業種、アウトプットの業種、輸出入、本社がどこにあるのか、メインの工場がどこにあるのかも考えます。組合せの要領ですよね。徹底的にリスク分散しています。

購入者の男女の比率などがあれば教えてください。

  私も最近の傾向は知らないのですが、一般の投信より女性の比率が高いはずですよ。もう一つ特徴として挙げられるのは我々のお客様の2割は投資の経験がなかった人です。投資家の心理からいって「リスクはなるべく小さい方が良い」「元本割れしない方が良い」「預金よりも少しプラスが欲しい」という観点から新規の方に選ばれているということや、「いい会社を増やしたい」というコンセプトに惹かれ、その投資先会社に対する「寄付」に似た動機で始める方もいるのです。我々は顧客市場の新規開拓をしていかないといけないと思っており、鎌倉投信はその入口となっているのですよ。

新井さんは大学生時代から金融に興味があったのですか。

  ありませんよ。実は貧乏学生でして、大学時代は昼間働き夜学に通っていたのです。
  でも、大学生が投資をすることについては基本的に社会を知る上ではとても重要な要素なので大変良いことだと思います。我々の商品を含めていうと、投資信託は1万円のお金で世界を知ることができる。社会を知ることができる。単にお金を払って活動して終わりではなく、活動しながら、なおかつ、お金が増やせるかもしれない。そして経済の勉強もできる訳ですから、投資信託は最高のツールだと思って頂いて結構だと思います。

理想的な顧客の投資スタンスというものはありますか。

  お客様には得をして頂きたいので、安い時に買って、高い時に売って、もうそれだけで結構です。ただ、残念ながらそういったことが常にできる人が世の中にはあまりいないので、いつ投資して良いかわからないし、いつ上がるか、いつ下がるかわからない、わからないのでしたら、少しずつ積み立ててやられたらどうですかという話でしかないんです。ですから、お客様の投資スタンスで、積立かそうでないかとか、長期かそうでないかとかではなく、お客様にとって一番良い投資スタンスというのは、長くやりたいかどうか長く付き合いたいかどうかということがとても大事なのです。楽しかったら続きますよね、そして、楽しくなかったら面倒でやめるじゃないですか。要は、毎日心配する運用なんていらない、放っておいても上手くいくような運用が一番なのです。そんなの心配しているぐらいなら自分の仕事もっと頑張りましょうよ。プロに任せているのだから、もっと解放されていいはずです。なんか楽しい、鎌倉投信とやっていると楽しいよね、というような感覚で、ゆったり考えて頂けたら良いと思います。

先ほど、投資家の2割が投資経験のない方ということでしたが、初心者の方が購入する上で注意すべきことは何でしょうか。

  一番注意して頂きたいのは、どんな状態になったら我慢できないのか限界を知って欲しいですね。100万円が99万円になるのはいいよ、90万円でも我慢できるよ、80万円になったら耐えられないよ、等、人それぞれです。自分がどこまでだったら我慢できるかを知って頂くことが大事ですね。それと先ほど申し上げたとおり、また宗教心っぽくて申し訳ないですが、この人(この会社)に任せたら安心できると思えるような運用会社であり、そういったファンドマネージャーなりと付き合うっていうことだと私は思います。ですから、顔が見える投資信託でないといけない、運用者が見える関係性でないといけないと思います。当たり前のことですが、信じて託していただいている訳ですからね。

最後に、鎌倉投信さんの考える、「いいファンド」とは何か、についてお聞きしたいです。

  運用者が唯一できることは何かといったら、リスク管理です。例えば、震災があった時に基準価額が大きく下落しました。その時にどんなにパフォーマンスを上げようとしても上がりません。リターンを生むことは努力してもできませんが、リスクをミニマイズすることは努力すればできるのです。ということは、もっと第三者評価機関の方はリスク管理に対しての評価をしっかりしてもらわなければ運用者の能力を絶対に測れない。リターンは“たまたま”があるのです。リターンが唯一評価できるようになるのは、3年後以降、少なくとも10年位かかるのです。運用者の能力というのは、実は、リターンには現れない可能性があるということです。
  いいファンドを選ぶときに、特に投資信託だとどうしても基準価額が高いファンドを選ぼうとしますが、それは全く意味がありません。いいファンドを選ぶ上で、先ずパフォーマンス評価というのはトータルリターンを見て頂きたいです。あともう1つは、哲学がないところには何も生まれませんから、投資哲学がきちっとしていることですね。ファンドがどういう考え方の中で、でき上がっているのかということをしっかり理解できるファンドでなければ、やめた方がいいと思います。
  「いいファンド」とは先ほど申し上げた、理解ができる、わかりやすい、自分にフィットしていると思える、哲学がはっきりしている、しっかりしている、リスク一単位当たりのリターンが高い、持続可能な(継続できる)仕組みである、そういったファンドかな、と思っています。

≪ Part1
<インタビュアー、記事執筆、写真撮影>
  高橋、桜町、SPOCK14号編集部