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さわかみ投信株式会社「さわかみファンド」-Part2

  直販の代名詞として名高いさわかみ投信株式会社の「さわかみファンド」について、取締役会長の澤上篤人氏にお話を伺いました。

取材日時  平成24年12月26日  14:00~15:00
場所        さわかみ投信株式会社本社

『さわかみファンド』を設定した背景や問題意識をお聞かせ下さい

  このファンドを設定するにあたっては当然強い問題意識がありました。もはや若い人の年金なんて誰も当てにできません。このまま国に頼って良いのでしょうか?その前に仕事そのものも当てにならなくなっている世の中です。もっと老後設計を含め、生活設計を自分で考えなければなりません。ではどうするのか?自分で経済的に自立しなければならないのです。そのためにはこの経済的自立をお手伝いするファンドが必要です。誰もが参加できるコストの安い、本気で長期投資を展開するファンドです。長期にわたって投資していて、気が付いたら財産になって生活が防衛できるファンドです。より多くの一般生活者の長期の財産作りを本格的な長期の運用でお手伝いするのがさわかみファンドの基本コンセプトです。金儲けのために始めた訳ではなかったので、会社を設立した当初の10年は大幅な赤字で個人借金が10億円を超えていましたよ(笑)。
  将来の年金以上に大きな問題意識は、間接金融主体でやってきた日本が完全に行き詰っている事です。世界最大の債権国でGDPの1.7倍もの預貯金がありながら、これが動かず経済が回っていません。おかしいでしょう?そこで先程もお話した通り、直接金融でお金が広く太く流れるしくみをつくる事が大きな狙いでした。その結果として経済が活性化して人々の暮らしが豊かになり財産になるのです。本にも書いていますが、個人の預貯金の1割でも貯蓄から投資へ動けば大きなインパクトがあり、日本は元気になるはずです。
  「さわかみファンド」は、この国で初めて本当の意味での財産作りをお手伝いしようとして作りました。日本の投信の生い立ちを思い出せば、そもそも個人の財産作りなんて考えていなかった事がわかります。販売手数料を稼ぐ等の金融ビジネスとして投信をやっているに過ぎないのに、そこへ財産作りを結びつける方が無理なのです。受益者のためと謳われてはいますが、そもそもボタンをかけ違ったままなのです。その一番の証明が出ては消える大量設定・大量解約で野垂れ死にするファンドの繰り返しです。平均寿命が3年弱のファンドでは、とてもではないけれど財産作りにはなりません。日本の問題点は投資信託がまさに金融のためのビジネスになってしまい、ビジネスのためのビジネスになっている事です。どこまで本気で一般生活者の財産作りをお手伝いするつもりがあるのでしょうか?デイトレードを含めた一般的な銭ゲバ的投資家のツールの一つとしては価値があるのかもしれません。売買を繰り返してうまく事サヤを抜けば済むからです。一部には長寿のファンドもあるけれど、その手数料は結構高いですよね。それが日本の現状です。

『さわかみファンド』の特徴的な理念・運用哲学(方針)は何でしょう

  お金を回して世の中を良いものにしようとする時、生活者と企業とは表裏一体の関係です。良い世の中を作ろうとする良い会社を応援し、企業と一緒に頑張ろうというのが基本コンセプトです。

具体的にはどのように銘柄を選定されるのですか

  10年先・20年先にどんな社会に住みたいか、どんな世の中を子供たちに残したいのかを具体的・徹底的に考え抜いて勉強しています。様々な仮説を立てて深く調査・研究しているうちに、我々と同じ方向へ進んでいる会社が浮かび上がります。そんな会社を応援しています。見込んだ会社は例え財務体質が良くなくても、潰れなければ良いのです。世の中の投資家は財務内容が良く、業績が積み上がる会社を選びがちです。しかし、それよりも大事なのは将来の大きな成長です。要するに実る時にはゴローンと実るので、目先の成長を見込んだ株価上昇は狙っていないのです。
  運用の理想としているのは、成績は良いけれどポートフォリオを見たらうんざりするようなファンドですね。パラドクスが生じているファンドです。ウチが買う時は常に皆が見捨てているのでボロボロの評価になっています。まだ他が売っている中を買っているので、応援している途中は評価損ばかりの会社を抱える事になります。実るまでには5年、10年と時間が必要ですが、実る時にはゴローン、ゴローンと結果が出ます。この成績とポートフォリオのパラドクス、営業主体の運用では絶対に通用しません。何故このような銘柄を組み入れているのかを理解してもらうのは難しいですよ。でも研究者の論文を含めて徹底的に調べているから長期的に株価が7倍10倍になるのは当たり前、これが長期投資の醍醐味なのです。チョコチョコ日銭を稼いだり鞘を抜くのではありません。こういった投資は楽しいでしょう?

実際に会社訪問などもされるのですか

  そうですね、会社より工場訪問の方が多く、技術屋でも何でもないけれどよく好きで行きます。訪問すると企業もこちらが相場の悪い時に買ってくれる長期応援団だと知っているので、普通ならビデオを見せられてちょっと回るコースなのでしょうが、結構長い時間を割いてくれます。
  ポートフォリオに製造業が多いのは、それが世界で見た日本の強みだからです。大型株を買っているのは意図的です。ありがたいことに今のところさわかみファンドには毎月お金が流入してくれていますが、世の中いつ何があるかわかりません。仮にとんでもないことが起きて半分のお客さんが解約するとなった場合も、売却しやすい流動性の高い大型株を組入れていれば残りのお客さんに迷惑がかかりにくいですよね。ウチは本来流動性を意識する必要はないけれども、売りたい人は売っても構わないし訳で、売る人が売ってもポートリオが傷まないしくみを作っておくことが大切です。成績を上げるだけなら小型株にシフトしても良いけれど、敢えてそれを捨ててでも流動性を意識しています。プライベートバンキングのようなこの長期の資産保全の価値は後にならなければ解りません。逆に長くなれば効いてくるので、論理の崩れ等ないようしっかりとした作り込みが必要です。

運用哲学を反映するようなファンド・データはあるのでしょうか

  営業する場合は必要だけれど、営業しないとなれば特にないですね。そのファンドが生きている、資産がどんどん増えて信頼が集まっていることでしょうか。その意味では資金流入があること自体が運用哲学を反映しているのかもしれません。
  パフォーマンスについては単なる収益率の数字だけでなく、時間を経て積み上がる「三角形の形」を見て欲しいですね。この形に重みがあるのです。まぐれで運用が当たった先と区別するためにね。これを理解してもらう事まで期待するのは難しいのですが、信頼してもらえればと思っています。
  ウチは社会貢献(SRI)ファンドであると一言も宣伝しないけれど、限りなくSRIです。投資する会社の中身を選んでいますから。ポートフォリオを見る人が見ればわかるはずです。SRIに関する立派なレポートを書く銀行が、SRIに意識の高い良い会社だと評価されていますが、社会的責任である税金を10数年も払わずにSRIのトップにくるなんておかしいでしょう?一方我々忙しい会社は書いている時間がないので、SRIレポートに関心がないで終わってしまいます。だから結果ですね。とにかく時間の経過に耐えられる仕事をしようと思っています。どんな営業トークやきれい事を並べても、時間が経てばかならず白日の下にさらされます。その時に評価をされる仕事をしたいと考えています。

目標とするリスク・リターンの水準はありますか

  「60歳向けだからこれくらいのリスクやリターンにする」という発想、これがそもそも間違っています。よく言われるように平均寿命と平均余命は違います。生まれてすぐ死ぬ子も入れた平均寿命よりも、現在既にお年寄りの方のほうが長生きします。ですから男性の平均寿命は79歳ですが、現在60歳の方の平均余命は23年なので83歳まで生きるという訳です。同様に女性の平均寿命は86歳ですが、現在60歳の女性は平均28年生きます。60歳で定年と言うけれど、60歳になった後30年以上生きる人も出てくるのです。その間色々なことが起こるでしょう。だから死ぬまで運用するのです。さわかみファンドは死ぬまで持って頂きます。解約しなければ相場の悪い時はあっても、常に運用されているのでまた良くなります。とにかく死ぬまで安心して預けられる先に運用しておけば、お亡くなりになった時に子供たちが残った資金を渡すことも、相続して引き継ぐことも、遺産を社会還元することもできます。終わりのないよう運用してもらっている安心感は大事だと思います。

ライバルファンドは他の直販ファンドですか

  いいえ。マーケットにお金が100兆円流れ込むとすると、お互いに1兆円ずつ上乗せがあっても大した問題ではありませんから。他社動向も全然気になりません。直販は仲間だから、みなが大きくなってもらいたいですね。その他は気になりません。

運用限界はあるのでしょうか

  運用限界はありません。成績を追いかけるファンドは、大きくなると買えなくなるかもしれませんが、さわかみファンドは応援するファンドです。10兆円だって20兆円だって皆が売っている時には「ありがとう」と言って買い、景気の下降局面でのバッファーになります。そして状況が良くなってきたら薄く、薄く売って行きます。この同じスタイルを続けることが大事です。長期投資のイロハのイになりますが、景気変動に合わせて株・キャッシュ・債券と資産配分を切り変えながら運用続けます。また目先の成績をベースに営業しようという気もありません。うちは10年放ったらかしでも、お客さんさえ良いと言ってくれれば良いのです。ドーンと上昇するところを取りながらを繰り返して、複利で増やしていきます。

購入される方の特徴はありますか

  40代と50代がほとんどです。普通の投信は60代から70代と言われているので、圧倒的に若い傾向ですね。今は若い人たちが大変な環境にあって増えていませんが、以前は30代と40代がほとんどでした。設定して10数年経ち、ややシフトしていますけれど、いずれにしても現役層に買って欲しいと思っています。もちろん20代の人も大勢いますし、中には生まれたての赤ん坊の口座を開く人もいらっしゃいます。この場合は80年の責任を頂いていると受け止めています。最初はサラリーマンが多かったけれど、自営業の方も増えてきました。そうですね、一般生活者ですよ。そして99.98%が個人です。個人事業主が会社の名前でファンドを購入することはあるけれど、年金や機関投資家が一切いないのが特徴ですね。

理想的な顧客の投資スタンスは積み立てでしょうか

  違います。自分は頑張って右足で真面目に働き、そして左足に相当するお金にもゆっくり働いてもらおうという方です。その両足でしっかり生きて自立した人、そのような思いを持った人です。これが理解できる人、実践できる人でなければなりません。ですから無為徒食の人ではありません。まずは働く、これは当たり前の事ですよね。
  本当はもう一つ考えて欲しいと願っています。生活の匂いの付いたお金はさわかみファンドのような本格的な長期ファンドに全部預ける一方、手元に残す資金は、自分が知的ゲームを楽しむために自由に投資して欲しいのです。この使い分けができるのが理想です。生活資産が別にあれば、安心して思い切り投資する事が出来るはずです。その時のルールは「計算しない」です。時価しか見ないのです。時価と将来しかないのが投資です。最初は50万円でドキドキします。ちょっと増えだすと、「これでローンが完済できる」と考えてみたりするものですが、そういった計算をはじめた瞬間、知的ゲームはガタガタになります。
  最初は50万円~100万円がせいぜいですが、そのうちに500万円でも平気、1000万円でも平気で運用できるようになり、これが5000万円、1億円となります。これが本当のリスクマネーです。別に長期投資の安心感があれば、計算しないで集中投資ができます。将来ファイナンシャル・インディペンデントを目指して欲しいのです。ノーリターンのつもりでも投資できるリスクマネーの出し手をさわかみファンドから排出したいですね。これを実現できるようにするのはウチの責任です。
  そのうちお金は増えすぎて困るようになります。お金に依存する人生はしんどいですが、これから自由になれます。長期投資で社会にお金の出し手が現れ、お金が増えているからこれをノーリターン、ソフトリターンで構わないと社会貢献として還元するような気楽なお金が社会に増えて欲しいと願っています。ウチの財団は最初のこのモデルです。

投資信託に馴染みのない方が『さわかみファンド』を買う場合の注意点はありますか

  誰でも買えるように、そもそも投資になじみのない方が安心して買えるような投信を作っています。
  本来投資信託は運用を専門家にお任せするために小口の個人投資家が集まって自然発生的にできました。大金持ちであれば自分だけのために運用を頼めますが、1人では頼めない小口投資家が自分たちの共有財産を運用のプロにお任せし、この資産を信託銀行に信託財産として預けるのが本来の姿です。財産が信託銀行に預けられているのは大きなメリットで、仮に国債が暴落して信託銀行が倒産しても信託財産は上限なく守られます。ここが預貯金とは違って、お金の置き場所がそもそも安全なのです。ですから投信に馴染みのない方でも安心して任せられる事は、そもそも投信にとても大事なのです。

いいファンドとは何か、また第三者投信評価機関に期待することをお聞かせ頂ければと存じます

  いいファンドとは職人のように自分の運用哲学があり、それをぶれずに続けるファンドです。想定外の事をされるのは困りますよね。
  運用評価機関については増えると良い訳ですが、できればリスクの取れる評価機関になって欲しいですね。自分が定性的にも厳しく選んで良いものだけを選び、駄目なものは駄目と判断を下すには大きなリスクをとることになりますが、それによって審美眼が磨かれることになります。磨かれることによって更に評価の信頼が高まって更に磨かれます。横に並べて差し障りのない事を言われるのが一番困ります。大手を入れたり、営業的な視点を入れたりすれば評価機関そのものに対する評価が下がります。その時に際立つのはウチのTVが世の中の本物をドンドン流すように、リスクをとるところでしょう。頼まれても絶対に断って本物を選ばなければ自分が恥をかく事になります。それで磨かれ鍛えられるのがプロです。リスクをとらないのならプロではないので、リスクをとって結果を出してドンドン大きくして下さい。

≪ Part1
<インタビュアー、記事執筆、写真撮影>
  高橋、桜町